退職金の所得税|退職所得控除・勤続年数別の税額早見表と計算ツール【2026年版】
退職金額と勤続年数を入力するだけで、退職所得控除・退職所得・所得税・住民税・手取り退職金を自動計算。勤続年数の端数処理も自動対応します。
「役員等」を選ぶと、勤続期間のすべてが役員等だったとして計算します。従業員から役員になった人など、役員等の期間が勤続年数より短い場合は結果が実際と違うことがあります(所得税法30条4項・5項)。
退職金の所得税はいくら?勤続年数別の税額早見表
退職金の額と勤続年数から、所得税・復興特別所得税(源泉徴収される額)を一覧にしました。前提は「役員以外・勤続5年超の一般の退職手当等・端数月なし・他の退職金やiDeCoの一時金の受け取りなし」です。住民税は退職金の住民税計算にあります。
| 退職金 | 勤続10年 | 勤続20年 | 勤続30年 | 勤続38年 |
|---|---|---|---|---|
| 1,000万円 | 206,752 | 51,050 | 0 | 0 |
| 1,500万円 | 686,622 | 278,222 | 0 | 0 |
| 2,000万円 | 1,229,284 | 788,722 | 155,702 | 0 |
| 3,000万円 | 2,811,834 | 2,137,974 | 1,111,869 | 523,262 |
| 5,000万円 | 6,538,484 | 5,721,684 | 4,328,019 | 3,384,615 |
表の値は、本ツールと同じ計算(課税退職所得金額を1,000円未満切り捨て→速算表→×1.021)で出しています。
退職所得控除額の早見表(勤続年数別)
退職金がこの金額以下なら、所得税も住民税もかかりません(国税庁 No.1420)。1年未満の端数は1年に切り上げた年数で見ます。
| 勤続年数 | 退職所得控除額 | 計算式 |
|---|---|---|
| 1年 | 80万円 | 40万円×年数が80万円に満たないため80万円 |
| 2年 | 80万円 | 40万円×2年 |
| 3年 | 120万円 | 40万円×3年 |
| 5年 | 200万円 | 40万円×5年 |
| 10年 | 400万円 | 40万円×10年 |
| 15年 | 600万円 | 40万円×15年 |
| 20年 | 800万円 | 40万円×20年 |
| 25年 | 1,150万円 | 800万円+70万円×(25−20)年 |
| 30年 | 1,500万円 | 800万円+70万円×(30−20)年 |
| 35年 | 1,850万円 | 800万円+70万円×(35−20)年 |
| 38年 | 2,060万円 | 800万円+70万円×(38−20)年 |
| 40年 | 2,200万円 | 800万円+70万円×(40−20)年 |
| 45年 | 2,550万円 | 800万円+70万円×(45−20)年 |
計算例(国税庁 No.2732 と同じ条件)
退職金2,300万円・勤続29年2か月(端数を切り上げて30年)の場合の手順です。
- 退職所得控除:800万円+70万円×(30−20)年=1,500万円
- 課税退職所得金額:(2,300万円−1,500万円)×1/2=400万円
- 所得税・復興特別所得税:380,322円(速算表で計算した額に×1.021)
もうひとつの例(退職金800万円・勤続10年2か月→11年)は、控除440万円、課税退職所得金額180万円、所得税・復興特別所得税91,890円です。
計算式と仕組み
Step 1: 勤続年数の端数処理(1年未満は切り上げ)
端数月が1ヶ月以上あれば1年追加(例: 20年3ヶ月 → 21年)。所得税法施行令第69条第2項
Step 2: 退職所得控除
勤続20年以下: 40万円 × 勤続年数(最低80万円)
勤続20年以下: 40万円 × 勤続年数(最低80万円) → 勤続21年以上: 800万円 + 70万円 × (勤続年数 - 20年)
Step 3: 退職所得
勤続5年超: (退職金 - 退職所得控除) ÷ 2
勤続5年超: (退職金 - 退職所得控除) ÷ 2 → 役員等で勤続5年以下: ÷2しない/役員以外で勤続5年以下: 控除後の額のうち300万円を超える部分は÷2しない
Step 4: 所得税(超過累進課税)
退職所得に195万〜4,000万円超の7段階税率を適用
× 1.021(復興特別所得税)
Step 5: 住民税
退職所得 × 10%(特別徴収)
退職所得 × 10%(特別徴収)
使い方(3ステップ)
- 退職金額・勤続年数・端数月・役員区分を入力する
- 退職所得控除額と退職所得を確認する
- 所得税・住民税・手取り退職金を確認して受け取り計画を立てる
退職金が税制上有利な理由
退職金は通常の給与所得と異なり、分離課税(他の所得と合算しない)で計算されます。さらに退職所得控除と2分の1課税という2つの優遇があるため、同額の給与収入と比べると大幅に税負担が少なくなります。
- 分離課税:給与・事業所得と合算せず、退職金だけで税率計算
- 退職所得控除:勤続年数に応じた大きな非課税枠(勤続30年で1,500万円)
- 1/2課税:控除後の残額をさらに半額にして課税(役員5年以内は不適用)
制度の見直しについて:退職所得控除の算式は、上の表のとおりです(国税庁 No.1420 で確認)。税制は改正されることがあるため、受け取り前に国税庁のページで最新の算式を確認してください。
2026年施行:iDeCo/DC 10年ルール改正(重要)
2026年1月施行の税制改正により、退職所得控除の調整ルールが「5年ルール」から「10年ルール」に延長されました。
| 項目 | 旧ルール(〜2025年) | 新ルール(2026年〜) |
|---|---|---|
| 調整対象期間 | 前年以前4年以内(5年) | 前年以前9年以内(10年) |
| 影響を受けるケース | 60歳DC→64歳以内の退職金 | 60歳DC→69歳以内の退職金 |
| 満額控除の条件 | 5年以上の間隔 | 10年以上の間隔 |
注意:60歳でiDeCoやDCを一時金で受け取り、65〜70歳未満で退職金を受け取る場合、退職所得控除が減額される可能性があります。受給計画を立てる際は税理士にご相談ください。
退職所得の申告方法
「退職所得の受給に関する申告書」を退職前に会社に提出することで、会社が正確な源泉徴収を行い、確定申告が原則不要になります。申告書を未提出の場合は一律20.42%が源泉徴収されますが、確定申告で精算できます。
よくある質問
退職金の所得税はどうやって計算する?
結論:(退職金−退職所得控除)×1/2を課税退職所得金額とし、所得税の速算表を当てて、復興特別所得税(×1.021)を加えます。退職金2,300万円・勤続30年なら、控除1,500万円、課税退職所得金額400万円、所得税・復興特別所得税は380,322円です(国税庁 No.2732 の計算例と同じ条件)。
退職金が退職所得控除額以下なら、所得税はかかる?
結論:かかりません。課税退職所得金額が0円になり、所得税も住民税も0円です。勤続10年の退職所得控除は400万円なので、退職金が400万円なら所得税は0円です。
勤続年数の端数(数か月)はどう扱う?
1年未満の端数は、1ヶ月でも1年に切り上げて計算します(所得税法施行令第69条第2項)。たとえば勤続20年3ヶ月は21年として、退職所得控除は800万円+70万円×1年=870万円です。本ツールで端数月を入力すれば自動処理されます。
「退職所得の受給に関する申告書」を出さないと、所得税はいくら引かれる?
結論:退職金の額に一律20.42%を掛けた額が源泉徴収されます。たとえば退職金2,300万円なら4,696,600円で、申告書を出した場合の380,322円との差額は確定申告で精算します(国税庁 No.2732)。
2026年から変わったiDeCoと退職金の受け取りのルールは?
結論:iDeCo・企業型DCの老齢一時金を受け取った年の翌年以降、退職金を受け取るまでの調整期間(勤続期間の重複を除く期間)が、前年以前4年内から9年内に延びました(令和8年1月1日以後に受ける老齢一時金から)。先に一時金を受け取って間もなく退職金を受けると、退職所得控除が減ることがあります。受け取りの順番と時期は、税務署・税理士に確認してください(出典:国税庁 No.2735)。
住民税・5,000万円の場合・役員の計算は退職金の住民税計算に例があります。
関連ツール
参考公的ソース
- 国税庁「No.1420 退職金を受け取ったとき(退職所得)」
- 国税庁「No.2260 所得税の税率」
- 国税庁「No.2735 同じ年に2か所以上から退職手当等が支払われるとき」(確定拠出年金の老齢一時金との調整期間)
- 国税庁「No.2732 退職手当等に対する源泉徴収」
本ツールは概算計算です。実際の税額は社会保険料・源泉徴収の申告状況・他の所得との関係等により異なります。退職金受け取り前に会社の担当部署または税理士にご相談ください。