個人事業主のまま vs 法人成り どっちが得?損益分岐シミュレーター(無料)
事業所得を入力するだけで、個人事業主と法人成り後の年間税負担を並べて比較。損益分岐点・役員報酬の最適額・社会保険の負担増・給与所得控除のメリット・2026年税制改正(基礎控除95万円・給与所得控除65万円)の影響を1画面で可視化します。弥生/freee/マネフォの自社誘導バイアスなし・中立試算です。
法人化を検討中の個人事業主・フリーランスの方向け。事業所得を入力するだけで個人と法人の損得が一目でわかります。
売上から経費を引いた事業所得(確定申告書の「事業所得の金額」)を入力してください。100万〜1億円の範囲で入力可能です。
対象業種・税率の詳細は東京都主税局の「個人事業税のご案内」でご確認ください。
▶ 役員報酬・家族役員の詳細設定(任意)
省略した場合は「役員報酬を最適額(合計負担が最小)に自動設定」して試算します。
配偶者・子どもなど家族を役員にする場合の報酬合計。社会保険の事業主負担も加算されます。
| 税目・負担 | 個人事業主 | 法人成り | 差額(個人−法人) |
|---|---|---|---|
| 所得税(復興税込) | — | — | — |
| 住民税 | — | — | — |
| 事業税 | — | — | — |
| 法人税等(法人のみ) | — | — | — |
| 社会保険・年金 | — | — | — |
| 合計負担(概算) | — | — | — |
| 手取り(概算) | — | — | — |
▶ 法人側の内訳を表示
※ 本ツールは青色申告65万円控除(個人)・所得税累進課税・住民税10%・個人事業税・国民健康保険・国民年金・法人税(中小軽減15%/23.2%)・地方法人税・法人住民税均等割7万・法人事業税・特別法人事業税・役員報酬の給与所得控除・社会保険(健保9.90%+厚生年金18.30%・2026年度値)を使用した概算試算です。消費税・インボイス・各種特例(小規模企業共済・iDeCo等)・会社設立費用・顧問税理士費用は含まれません。
個人事業主と法人成りの税負担の違い:5つの主要項目
個人事業主と法人では、課税される税目と計算方法が根本的に異なります。2026年税制改正(令和7年分以降)を反映した最新の比較です。
| 税目 | 個人事業主 | 法人成り |
|---|---|---|
| 所得税 | 事業所得に累進課税(5〜45%)・青色申告控除65万適用 | 役員報酬に給与所得控除(最低65万)適用後に累進課税 |
| 法人税 | なし | 中小軽減800万以下15%・超23.2%(2027年3月末開始事業年度まで) |
| 事業税 | 290万控除後 × 3〜5% | 400万以下3.5%・400〜800万5.3%・超7.0%(特別法人事業税37%加算) |
| 住民税均等割 | 5,000円/年(個人) | 最低7万円/年(法人住民税均等割・赤字でも発生) |
| 社会保険 | 国民健康保険+国民年金(月17,920円・年215,040円) | 健保9.90%+厚生年金18.30%(労使折半)・役員も加入必須 |
出典:国税庁 No.5759法人税率・No.1410給与所得控除・No.1199基礎控除 / 協会けんぽ令和8年度保険料率(2026-05-27確認)。
法人成りのメリット:給与所得控除と損益分岐点の仕組み
法人化すると、代表者(役員)は自分に給与(役員報酬)を払う形になります。この役員報酬には「給与所得控除」が適用され、個人事業主にはない節税メリットが生まれます。
・個人事業主: 事業所得600万 − 青色申告控除65万 = 535万が課税ベース
・法人成り役員: 役員報酬600万 − 給与所得控除164万 = 436万が課税ベース
→ 給与所得控除のメリット: 課税ベースが99万円少ない → 所得税+住民税で約30万円の節税
出典:国税庁 No.1410 給与所得控除(2026年・令和7年分以降)。役員報酬600万の場合:600万×20%+44万=164万円の給与所得控除。
- 事業所得が高いほど(特に800万円超)、個人の累進課税(最高45%)と法人税率23.2%の差が大きくなる
- 法人課税所得がゼロ(役員報酬=事業所得)にすれば法人税はかからない。残るのは均等割7万円のみ
- 損益分岐点は「個人の合計負担 = 法人+個人の合計負担」になる事業所得。本ツールが二分探索で算出
- 損益分岐点は役員報酬の設定・家族役員の有無・社保料率によって変わる
法人成りのデメリット:社会保険の負担増と固定費
法人化で節税メリットが得られる一方、無視できないデメリットもあります。特に社会保険の負担増は計算上大きな影響があります。
| デメリット | 概算コスト・内容 |
|---|---|
| 社会保険 事業主負担 | 健保4.95%+子育て支援金0.115%+厚生年金9.15%≒14.2%(役員報酬に対して)。役員報酬600万なら年約85万円の事業主負担 |
| 法人住民税 均等割 | 最低7万円/年(赤字でも発生・東京23区・資本金1,000万以下・従業員50人以下) |
| 会社設立費用 | 株式会社:20〜30万円程度 / 合同会社(LLC):10〜15万円程度 |
| 税理士顧問料 | 年30〜60万円程度(法人決算書・法人税申告書の作成は個人確定申告より複雑) |
| 役員報酬の変更制限 | 年1回しか変更できない(定期同額給与が原則)。業績変動に対応しにくい |
出典:協会けんぽ令和8年度保険料率・総務省法人住民税均等割・法務省会社設立登記(2026-05-27確認)。
役員報酬の最適額の決め方:給与所得控除 vs 社保増のバランス
役員報酬は高く設定すると給与所得控除のメリットが得られますが、同時に社会保険料(事業主負担+本人負担)も増えます。法人課税所得を残すと法人税がかかります。このトレードオフを最適化するのが「役員報酬最適額」の計算です。
1. 法人課税所得をゼロ(役員報酬で利益を全額役員に分配)にすると法人税はかからない
2. ただし社会保険(健保+厚生年金・計27.5%・労使合算)の事業主側負担が役員報酬の約14%かかる
3. 役員報酬を低く抑えると社保負担は減るが、法人に残った利益に法人税(800万以下15%)がかかる
4. 一般的に「法人税率(15〜23.2%)<社保事業主負担率(約14%)」の関係から、ある程度の役員報酬は法人利益を残す方が有利なケースもある
本ツールでは「役員報酬を0〜事業所得の範囲でスキャンし、法人+個人の合計負担が最小になる役員報酬額」を最適額として算出しています。
社会保険の負担:個人事業主 vs 法人役員の具体的な差
社会保険の負担は法人化を判断する上で最も重要なコスト要素の1つです。2026年度の公式値(協会けんぽ全国平均)で比較します。
| 項目 | 個人事業主 | 法人役員(役員報酬600万/年) |
|---|---|---|
| 健康保険 | 国民健康保険(所得割10%+均等割) | 協会けんぽ9.90%(労使折半:本人4.95%・会社4.95%) |
| 厚生・国民年金 | 国民年金:月17,920円・年215,040円(固定) | 厚生年金18.30%(労使折半:本人9.15%・会社9.15%) |
| 役員報酬600万の年間社保 | 国保:約65万円(東京・所得600万概算)+国民年金22万円≒87万円 | 本人負担:約85万円・会社負担:約85万円=合計約170万円 |
| 将来の年金受取 | 基礎年金のみ(満額約79.6万円/年・2026年度) | 基礎年金+厚生年金(報酬に応じて増額・老後の給付は有利) |
出典:協会けんぽ「令和8年度保険料率」・日本年金機構「厚生年金保険料額表・国民年金保険料」・総務省(2026-05-27確認)。役員報酬600万円/年での概算。
2026年税制改正の影響:基礎控除95万・給与所得控除65万
令和7年度税制改正(2026年分所得から適用)で、個人の所得控除が大幅に拡充されました。これにより個人事業主の税負担が軽減され、法人成りのメリットが縮小した所得帯が生じています。
| 控除項目 | 2025年以前 | 2026年以降(令和7年分) | 個人への影響 |
|---|---|---|---|
| 基礎控除(所得税) | 最大48万円 | 最大95万円(合計所得132万以下) | +47万円の控除拡大 |
| 給与所得控除(最低保障) | 55万円 | 65万円(190万円以下) | +10万円の控除拡大 |
| 160万円の壁 | 103万円・150万円 | 160万円(給与収入)へ繰上げ | 配偶者の就労促進 |
出典:国税庁「令和7年度税制改正による所得税の基礎控除の見直し等」・No.1199・No.1410(2026-05-27確認)。
個人事業主は2026年から基礎控除が最大95万円(合計所得132万以下の場合)に拡大されました。事業所得800万円程度では基礎控除は58万円のままですが、低〜中所得帯(特に合計所得132万以下)では95万円が適用され、個人事業主の税負担が大幅に軽減されます。この改正により、以前より「法人化が得になる損益分岐点が上がった(個人事業主が有利な所得帯が広がった)」効果があります。
法人化の手続きと費用:株式会社 vs 合同会社の選択
法人成りを決断したら、まず会社の種類を選択します。一人社長の場合は費用が安い合同会社を選ぶ方も増えています。
| 項目 | 株式会社 | 合同会社(LLC) |
|---|---|---|
| 登録免許税 | 15万円 | 6万円 |
| 定款認証手数料 | 3.2〜5万円(公証役場) | 不要 |
| 社会的信用 | 高い(大企業との取引・融資に有利) | やや低い(認知が広まりつつある) |
| 税務上の扱い | 基本的に同等 | 基本的に同等 |
出典:法務省「会社設立の手続き」(2026-05-27確認)。諸費用は目安。司法書士報酬は別途。
法人化の設立手続き自体は自分でも行えますが、定款・登記書類の作成ミスを防ぐためにも司法書士や会社設立サービスを利用するケースが多いです。設立後の税務・社会保険の手続きを含め、税理士と社会保険労務士(社労士)への相談も早めに行うことを推奨します。
損益分岐点の目安:所得別・役員報酬別の比較一覧
本ツールの計算ロジックを使った代表的な事業所得別の試算です(業種:第1種・個人事業税5%・家族役員なし・最適役員報酬)。2026年税制改正反映。
| 年間事業所得 | 個人事業主 年間負担(概算) | 法人成り 年間負担(概算) | 差額(法人有利:プラス) |
|---|---|---|---|
| 500万円 | 約138万円 | 本ツールで確認 | 本ツールで確認 |
| 800万円 | 約265万円 | 本ツールで確認 | 本ツールで確認 |
| 1,000万円 | 約363万円 | 本ツールで確認 | 本ツールで確認 |
| 2,000万円 | 約888万円 | 本ツールで確認 | 本ツールで確認 |
※ 個人事業主の負担概算:所得税(青色申告65万・基礎控除適用)+住民税+個人事業税+国民健康保険+国民年金(2026年度値)。法人の数値は本ツールに入力して確認してください。本テーブルの計算は一般的なケースの目安であり個別の状況によって異なります(出典:計算ナビ 2026年試算)。
よくある質問(FAQ)
個人事業主と法人成りはどちらが税金が安いですか?
結論:一般的に事業所得が700〜1,000万円を超えると法人化が有利になるケースが多いです。ただし法人住民税均等割(赤字でも7万円)・社会保険の事業主負担増・会社設立費用・税理士顧問料も含めると、実際の損益分岐点は個人の状況によって異なります。本ツールで事業所得を入力して確認してください(出典:国税庁 No.5759 2026-05-27確認)。
法人化すると社会保険はどう変わりますか?
結論:法人化すると役員も社会保険(健康保険9.90%+厚生年金18.30%・2026年度・労使折半)に加入します。個人事業主の国民年金(月17,920円・年215,040円)と比べると、役員報酬が高い場合は社保負担が大幅に増えます。ただし厚生年金は老後の年金受取が増えるというプラスの面もあります(出典:協会けんぽ 令和8年度保険料率 2026-05-27確認)。
役員報酬の最適額はいくらですか?
結論:本ツールで自動算出されます。事業所得に対して法人+個人の合計負担が最小になる役員報酬を目安として表示します。実際の役員報酬は事業年度開始後3ヶ月以内に決定し、原則年1回しか変更できません。業績変動への対応や将来の退職金原資を考えると、税理士に相談の上で決定することを推奨します(出典:国税庁 法人税法 34条 2026-05-27確認)。
2026年の税制改正で法人化の判断はどう変わりましたか?
結論:2026年(令和7年分以降)から基礎控除が最大95万円・給与所得控除の最低保障が65万円に拡充され、個人事業主の税負担が軽減されました。これにより以前と比べて法人化が得になる損益分岐点が上がった(個人有利な所得帯が広がった)効果があります。本ツールは2026年の正値を反映しています(出典:国税庁 No.1199・No.1410 2026-05-27確認)。
法人化すると消費税はどうなりますか?
結論:法人成りした年と翌年は消費税が原則免税(資本金1,000万円未満・課税売上高1,000万円以下の場合)です。ただし個人事業主時代にインボイス登録している場合の引き継ぎや、特定期間の売上判定など複雑な要素があります。消費税の扱いは本ツールの計算対象外です(出典:国税庁 No.6501 2026-05-27確認)。
家族を役員にすると節税になりますか?
結論:法人では家族役員への給与は合理的な金額であれば全額損金算入できます(個人事業主の専従者給与と異なり上限なし)。ただし家族役員にも社会保険加入義務が生じ、事業主負担(健保+厚生年金)も増えます。本ツールの「家族役員報酬」欄を入力して効果を確認してください(出典:国税庁 法人税法 34条・36条 2026-05-27確認)。
合同会社(LLC)と株式会社どちらが税務上有利ですか?
結論:税務上の扱いは基本的に同等です。法人税・法人住民税・法人事業税・社会保険とも合同会社も株式会社も同じルールが適用されます。合同会社の方が設立コストが低く(登録免許税6万円対15万円)、小規模・一人社長の場合は合同会社を選ぶケースが増えています。ただし社会的信用・対外的なイメージを重視する場合は株式会社が有利です(出典:法務省 会社法 2026-05-27確認)。
小規模企業共済には加入したままにできますか?
結論:法人成りすると個人事業主としての小規模企業共済は継続できません。法人化と同時に解約(廃業)の手続きが必要です。ただし法人の代表者として新たに小規模企業共済に加入できます(月最大7万円・全額所得控除)。また法人化により青色申告特別控除65万円は個人事業主分のみ(法人には適用されない)となる点にも注意が必要です(出典:中小機構「小規模企業共済」2026-05-27確認)。
本ツールの計算に含まれていないものは何ですか?
結論:本ツールは概算計算です。含まれていない要素として①消費税・インボイス②青色申告65万控除の電子申告要件③小規模企業共済・iDeCoの控除④会社設立費用・顧問税理士費用⑤役員退職金の損金算入⑥各種優遇税制(中小企業特例等)があります。実際の法人化判断は税理士への相談が不可欠です(出典:計算ナビ編集部 2026-05-27)。
関連ツール・内部リンク
本ツールは2026年度の税率・社会保険料率(令和7年分以降の改正値)を使用した概算試算ツールです。青色申告65万円控除・国民健康保険(所得割10%+均等割・東京23区概算)・個人事業税・法人税(中小軽減税率)・地方法人税・法人住民税均等割・法人事業税・特別法人事業税・役員報酬への給与所得控除・社会保険(健保9.90%+厚生年金18.30%・2026年度値)を使用しています。消費税・インボイス・各種優遇税制・会社設立費用・税理士顧問料は計算対象外です。本ページは監修なし・一般情報として提供しており、個別の税務アドバイスではありません。具体的な法人化の判断は税理士にご相談ください。