iDeCo+退職金 同時受取シミュレーター
退職金とiDeCo一時金を「通算されない別々の年」に受け取る場合と「同じ年」に受け取る場合の税額・手取りを、国税庁の計算方法と端数処理で比べます。2026年1月からの「前年以前9年内」にも対応しています。
2026年10月15日 時点の情報こんな方向け:iDeCoと退職金を両方受け取る予定の方・受け取る年をずらすと税がどれだけ変わるか知りたい方・2026年改正で何が変わったか知りたい方
※ 本ツールは概算です。前年以前に受け取った退職金・企業型DC・中退共などがある場合や、役員・短期勤続の場合は実際の税額と異なります。 監修なし・一般情報として提供しています。具体的な試算は税理士にご相談ください。
入力フォーム
年数は1年未満の端数を1年に切り上げて入れます(例: 30年1か月 → 31年。所得税法施行令第69条第2項)。iDeCoの年数は掛金を出した期間で、運用指図者だった期間は含めません。6〜60年の整数で入力してください(5年以下は短期退職手当等の計算になるため扱いません)。
参考: iDeCoを年金で受け取る年の税の目安(任意・1年分)
退職金と合わせた老後資金づくりに:松井証券iDeCoで積立を検討
iDeCoで老後資金を節税しながら積み立てる
松井証券のiDeCoはポイント還元あり・手数料無料
松井証券 iDeCo →
※当リンク先は提携サービスです(PR)
2026年1月施行「9年ルール(10年ルール)」の全体像
確定拠出年金(iDeCo・企業型DC)の老齢一時金を先に受け取り、あとで退職金を受け取る場合の調整の対象が、2026年1月から延びました。調整の対象になると、後で受け取る退職金の退職所得控除が、期間が重なる年数の分だけ減ります。
| 受け取る順番 | 2025年12月までに受け取った一時金が先 | 2026年1月以後に受け取った一時金が先 |
|---|---|---|
| iDeCoが先→退職金が後 | 前年以前4年内 | 前年以前9年内(延長) |
| 退職金が先→iDeCoが後 | 前年以前19年内(変更なし) | |
- 判定は受け取った暦年で行います。経過した日数や年齢差ではありません
- 「前年以前9年内」は、退職金を受け取る年の前年から9年前の年まで。2026年にiDeCo一時金を受け取ったなら、2035年までの退職金は対象、受取年の差が10年以上になる2036年以後は対象外です
- 「前年以前19年内」も同じ数え方で、2026年に退職金を受け取ったなら、受取年の差が20年以上になる2046年以後のiDeCo一時金は対象外です
- 延びた9年の対象は、令和8年(2026年)1月1日以後に支払を受けた一時金だけです。それより前に受け取った一時金が先なら、4年内のままです
- 同じ年に受け取る(パターンC)と、合計額に控除を1回だけ使います
3パターンの仕組みと選び方
退職金とiDeCo一時金を受け取る年によって、退職所得控除の使い方が変わります。iDeCoの老齢給付金は原則60歳から受け取れ(60歳時点の通算加入者等期間が10年に満たないと61〜65歳に後ろ倒し)、受給開始は75歳までです。この範囲で実際に選べるかも合わせて確認してください。
パターンA: iDeCo一時金が先 → 受取年の差が10年以上あとに退職金
| 仕組み | iDeCoの控除(加入年数)と退職金の控除(勤続年数)をそれぞれ使う |
| 条件 | iDeCo一時金を受け取った年と退職金を受け取る年の差が10年以上(2026年1月1日以後に受け取ったiDeCo一時金の場合) |
| 税 | パターンBと同じ額。多くの場合、パターンCより少ない |
| 当てはまる例 | 60歳の年にiDeCo一時金を受け取り、その10年以上あとの年(おおむね70歳以後)に退職金を受け取る(そこまで勤める)場合 |
パターンB: 退職金が先 → 受取年の差が20年以上あとにiDeCo一時金
| 仕組み | 退職金の控除(勤続年数)とiDeCoの控除(加入年数)をそれぞれ使う |
| 条件 | 退職金を受け取った年とiDeCo一時金を受け取る年の差が20年以上 |
| 実際に選べるか | iDeCoの受給開始は75歳までなので、退職金をおおむね55歳までに受け取った方に限られます |
| 当てはまる例 | 55歳で退職金を受け取り、75歳でiDeCo一時金を受け取る場合。それ以外は、iDeCoを年金で受け取る方法(下の代替策)を検討します |
パターンC: 同じ年に退職金+iDeCo一時金を受け取る
| 仕組み | 合計額に、最も長い期間(重ならない期間があれば加える)の退職所得控除を1回だけ使う |
| 税 | 控除が1回分になるため、多くの場合A・Bより多い(既定の例では1,456,167円多い) |
| 差が出ない・逆になる例 | 合計額が控除の範囲に収まれば税は0円で同じ。勤続年数が長く退職金が少ない場合は、長い勤続年数の控除を合計額に使えるので、Cの方が少ないこともある |
退職所得控除の計算式と勤続年数別の控除額
退職所得控除は勤続年数が長いほど大きくなります。勤続年数に1年未満の端数があるときは1年に切り上げます(例: 10年2か月 → 11年)。
| 勤続年数 | 退職所得控除額 |
|---|---|
| 20年以下 | 40万円 × 勤続年数(80万円に満たない場合は80万円) |
| 20年超 | 800万円 + 70万円 × (勤続年数 − 20年) |
勤続年数別 退職所得控除額一覧
| 勤続年数 | 退職所得控除額 | 退職金1,000万円の課税退職所得 | 退職金2,000万円の課税退職所得 |
|---|---|---|---|
| 10年 | 400万円 | 300万円 | 800万円 |
| 15年 | 600万円 | 200万円 | 700万円 |
| 20年 | 800万円 | 100万円 | 600万円 |
| 25年 | 1,150万円 | 0円(課税なし) | 425万円 |
| 30年 | 1,500万円 | 0円(課税なし) | 250万円 |
| 35年 | 1,850万円 | 0円(課税なし) | 75万円 |
| 40年 | 2,200万円 | 0円(課税なし) | 0円(課税なし) |
※ 課税退職所得金額 =(退職金 − 控除額)× 1/2(1,000円未満切捨て)。勤続5年以下は控除後300万円を超える部分に1/2をかけない(短期退職手当等)など計算が変わります。国税庁 No.1420・No.2735 による。
国税庁 No.1420 退職金を受け取ったとき(退職所得)(2026-10-15確認)受取年の差を10年以上空けられない場合: iDeCoを年金で受け取る
60歳でiDeCoを受け取り65歳で退職するなど、受取年の差が10年に満たない場合は、iDeCoを年金(または一時金と年金の組み合わせ)で受け取る方法があります。
- 年金で受け取ると退職所得ではなく「公的年金等に係る雑所得」になり、退職所得どうしの調整(前年以前9年内・19年内)の対象になりません
- 公的年金等控除: 65歳以上(その年の12月31日の年齢)で、公的年金等の収入(iDeCo年金を含む)が330万円未満、年金以外の合計所得金額が1,000万円以下なら、控除は110万円です
- 令和8年度の老齢基礎年金(満額)は月額70,608円(昭和31年4月2日以後生まれ)・70,408円(昭和31年4月1日以前生まれ)。これにiDeCo年金を足した公的年金等の収入が110万円以下なら、65歳以上(年金以外の合計所得金額が1,000万円以下)の雑所得は0円です
- 注意: 年金で受け取る年は、ほかの所得と合わせて課税されます。公的年金等の収入が410万円以上になると控除の計算式が変わり、年金以外の所得が1,000万円を超えると控除が10万円(2,000万円超は20万円)減ります
| 選択肢 | 退職金を受け取る年 | 退職所得控除 |
|---|---|---|
| iDeCo一時金を60歳で受取・退職金は70歳以後の年 | 受取年の差10年以上 | それぞれ使える |
| iDeCoは年金で受取・退職金は一時金 | いつでも | 退職金の控除は減らない(年金は公的年金等控除) |
| iDeCo一時金を60歳で受取・退職金は61〜69歳 | 受取年の差10年未満 | 退職金の控除が重なる年数の分だけ減る |
| iDeCo一時金と退職金を同じ年に受取 | 同じ年 | 合計額に1回だけ |
代表ケースで見る3パターンの税額
退職金2,000万円・勤続30年、iDeCo1,000万円・加入30年(iDeCoの加入期間は会社の勤続期間の中)の例です。数字はこのページの計算ツールと同じ計算で出しています。
- 勤続30年: 退職所得控除 = 800万円+70万円×10年 = 1,500万円
- iDeCo加入30年: iDeCo一時金だけの控除も1,500万円
- 同じ年に受け取ると、2つの期間が重なっているので合わせた勤続年数も30年・控除1,500万円
| 項目 | パターンA・B (別々の年) | パターンC (同じ年) |
|---|---|---|
| 退職金の課税退職所得 | (2,000万円−1,500万円)÷2 = 2,500,000円 | (3,000万円−1,500万円)÷2 = 7,500,000円(合計) |
| iDeCoの課税退職所得 | 0円(控除の範囲内) | |
| 所得税+復興特別所得税 | 155,702円 | 1,111,869円 |
| 住民税(6%+4%) | 250,000円 | 750,000円 |
| 税額合計 | 405,702円(約40.6万円) | 1,861,869円(約186.2万円) |
| 差額 | Cより1,456,167円(約145.6万円)少ない | 基準 |
※ 所得税等は(課税退職所得×税率−控除額)×102.1%の1円未満切捨て、住民税は市町村民税6%・道府県民税4%をそれぞれ100円未満切捨て。受け取る時期の違いによる運用益などは入れていません。
国税庁 No.2260 所得税の税率(2026-10-15確認) 横浜市 退職所得の課税の特例(住民税の計算)(2026-10-15確認)9年ルール(10年ルール)の注意点と計算の落とし穴
2026年改正で延びた調整の対象には、いくつかの注意点があります。
- 「前年以前9年内」の数え方: 退職金を受け取る年の前年から数えて9年前の年までに受け取ったiDeCo一時金が対象。受取年の差が10年以上なら対象外です(例: 2026年のiDeCo一時金 → 2036年以後の退職金は対象外)
- 2025年12月までに受け取った一時金: 延びた9年の対象は2026年1月1日以後に支払を受けた一時金だけで、それより前の一時金は4年内のままです
- 企業型DCも対象: iDeCoだけでなく、会社の企業型DCの老齢一時金も同じ扱いです
- 調整されるときの控除: 後で受け取る方の控除から、期間が重なる年数(1年未満は切捨て)で計算した控除の額を引きます(80万円に満たないときは80万円)。前に受け取った額が控除より少ないときは、重なる期間を短くみなす計算もあります
- 複数の退職一時金がある方: 前職の退職金・中退共・DB(確定給付)なども前年以前の調整の対象になる場合があるため、複数回の受取歴がある方は税理士に確認してください
- 勤続年数の端数: 勤続期間に1年未満の端数があるときは、1か月でも1年に切り上げ(例: 30年1か月 → 31年。所得税法施行令第69条第2項)。端数の扱いで控除額が変わります
- 勤続5年以下: 役員等で5年以下(特定役員退職手当等)は1/2をかけません。役員以外でも5年以下(短期退職手当等)は、控除後300万円を超える部分に1/2をかけません。本ツールは6年以上だけを計算します
- 障害による退職: 障害者になったことが直接の原因で退職した場合は、控除に100万円を加えます。本ツールでは加えていません
- 過去に転職があり、前職での退職金受取歴がある方
- 企業型DC・中退共・DBなど複数の退職給付制度に加入している方
- iDeCoの加入期間と会社の勤続期間がずれていて、重ならない期間がある方(中途加入・退職後も掛金を出した方など)
- 受取年の差が10年未満(iDeCoが先)・20年未満(退職金が先)で別々の年に受け取る方
- 役員報酬と従業員退職金が混在する方
退職前に確認すべき受取設計チェックリスト
退職金・iDeCoの受取設計は退職の数年前から計画するほど選択肢が広がります。以下のチェックリストを参考に早めに動いてください。
- 自分のiDeCo加入年数(掛金を出した期間)・会社勤続年数を正確に把握する
- 退職予定時期を確定(あるいは仮設定)する
- iDeCo一時金を受け取る年と退職金を受け取る年の差を確認する
- 差が10年未満なら、iDeCoを年金で受け取る方法も検討する(受取方法の選び方・変更できるか・その期限は、加入している運営管理機関の手続きで確認する)
- 本ツールで3パターンを試算し、税額差を数字で把握する
- 企業型DC・中退共・確定給付年金など他の退職給付制度の有無を確認する
- 複数の制度がある場合は税理士・FPに個別シミュレーションを依頼する
関連する計算ツール・解説ページ
- 退職金計算ツール一覧(退職所得控除・税額計算・iDeCo受取順序の解説)
- iDeCo節税シミュレーター(年間掛金の所得税・住民税節税効果を計算)
- 退職金一時金・年金受取シミュレーション(公務員退職手当・一時金vs年金比較)
- 年金・老後の計算ツール一覧(公的年金・FIRE・老後シミュレーション)
- iDeCo10年ルール解説(2026年改正の詳細)
関連サービス
※当リンク先はすべて提携サービスです(PR)
このツールで扱わないこと
- 受取年の差が10年未満(iDeCoが先)・20年未満(退職金が先)で別々の年に受け取る場合の控除の調整(所得税法施行令第70条)
- iDeCoの加入期間と会社の勤続期間に重ならない部分がある場合の、同じ年に受け取るときの勤続年数の加算(短い方の期間が長い方の中に収まる前提で計算)
- 勤続年数・加入年数が5年以下(短期退職手当等・特定役員退職手当等)、障害者になったことによる退職の100万円の加算
- 前年以前・同じ年に受け取ったほかの退職金・企業型DC・中退共・DBなどとの調整
- 受け取る時期の違いによる運用益・利息・物価・制度改正の影響(名目の税額だけを比べます)
- iDeCoを年金で受け取る場合の、受給期間全体の税額と一時金との総額比較(参考欄は1年分の雑所得の増え方と税の目安だけ)