労災慰謝料計算機(無料)
労災保険に慰謝料はありません。労災保険から受け取る休業(補償)給付と休業特別支給金を計算し、会社や事故の相手に別に請求する慰謝料の目安(赤い本の表)を並べて表示します。
事故の日(賃金の締切日があれば、その直前の締切日)より前の3か月に支払われた賃金の合計。賞与など3か月を超える期間ごとの賃金は含めません。
働いた日数ではなく、カレンダーの日数(89〜92日)。
療養のため働けず、賃金を受けなかった日数(休業の初日から数える)。
通院を始めた日から治療が終わった日までの暦日数(入院期間を除く)。
| 平均賃金(1日・1銭未満切り捨て) | - |
| 給付基礎日額(1円未満切り上げ) | - |
| 支給の対象になる日数(4日目から) | - |
| 休業補償給付(1日 -) | - |
| 休業特別支給金(1日 -) | - |
| 一部負担金(通勤災害) | - |
| 待期-の会社の休業補償(目安) | - |
休業の給付は労災保険法と厚生労働省の計算例どおりの見込みで、平均賃金の最低保障額・年齢階層別の限度額などは反映していません。慰謝料の目安は交通事故で参考にされる書籍の表で、法令ではありません。表の値は赤い本の原本とは照合しておらず、法律事務所などが公開している転載表2つを突き合わせた参考値です(版は不明)。30日を1か月とした幅の出し方は、このツールの表示方法で、書籍の計算方法ではありません。
労災保険に慰謝料はない
労働者災害補償保険法第12条の8は、業務災害の保険給付を「療養補償給付・休業補償給付・障害補償給付・遺族補償給付・葬祭料・傷病補償年金・介護補償給付」と定めています(通勤災害は第21条で「療養給付・休業給付・障害給付・遺族給付・葬祭給付・傷病年金・介護給付」)。この中に、精神的な苦痛に対する慰謝料はありません。
慰謝料を受け取るには、労災保険の請求とは別に、会社や事故の相手に損害賠償を求めます。会社に対しては、労働契約法第5条「使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする。」に反したことによる債務不履行(民法第415条)や、不法行為(民法第709条・使用者責任の第715条)などを主張します。労災保険の給付と会社の損害賠償の責任は別のものなので、労災と認定されたことだけで会社の賠償責任が決まるわけではありません。
e-Gov法令検索「労働者災害補償保険法」第7条・第12条の8 e-Gov法令検索「労働契約法」第5条休業(補償)給付と休業特別支給金の計算
労災保険法第14条第1項は、休業補償給付を「賃金を受けない日の第四日目から支給するものとし、その額は、一日につき給付基礎日額の百分の六十に相当する額とする。」と定めています。これとは別に、休業特別支給金(給付基礎日額の20%)が支給されます。厚生労働省は「休業1日につき、給付基礎日額の80%(休業(補償)等給付=60%+休業特別支給金=20%)が支給されます。」と説明しています。
- 平均賃金:直前3か月の賃金の総額 ÷ その3か月の暦日数。1銭未満は切り捨てます(例: 600,000円 ÷ 92日 = 6,521円73銭)。
- 給付基礎日額:平均賃金の1円未満を切り上げます(法第8条の5「一円未満の端数があるときは、これを一円に切り上げる」)。例: 6,522円。
- 1日あたり:給付基礎日額×60%と×20%を、それぞれ1円未満切り捨て。例: 3,913円+1,304円=5,217円(厚生労働省の計算例と同じ)。
- 合計:1日あたり×休業4日目以降の日数。例: 業務災害で30日休むと27日分で、休業補償給付105,651円+休業特別支給金35,208円。
最初の3日間(待期期間)
厚生労働省のパンフレットは「休業の初日から第3日目までを待期期間といい、この間は業務災害の場合、事業主が労働基準法の規定に基づく休業補償(1日につき平均賃金の60%)を行うこととなります。」としています(労働基準法第76条第1項)。このツールは、平均賃金×60%×待期の日数を1円未満四捨五入して目安を出します(例: 11,739円)。通勤災害には、この会社の補償はありません。
通勤災害の一部負担金(200円)
通勤災害で療養給付を受ける人は、最初の休業給付から一部負担金が差し引かれます(労災保険法第22条の2第3項・第31条第2項)。額は施行規則第44条の2で「二百円」(日雇特例被保険者は百円)と定められ、「第三者の行為によつて生じた事故により療養給付を受ける者」などは対象外です。例: 第三者の行為ではない通勤災害で30日休むと、休業給付は105,451円です。
厚生労働省「休業(補償)等給付 傷病(補償)等年金の請求手続」(PDF) e-Gov法令検索「労働者災害補償保険法施行規則」第44条の2損害賠償と労災保険の給付の関係
同じ損害を、労災保険と損害賠償の両方から二重に受け取らないよう調整されます。
- 事故の相手(第三者)がいる場合:労災保険法第12条の4は、政府が保険給付をしたときは「その給付の価額の限度で、保険給付を受けた者が第三者に対して有する損害賠償の請求権を取得する」、先に相手から「同一の事由について損害賠償を受けたときは、政府は、その価額の限度で保険給付をしないことができる」と定めています。
- 会社が待期期間の休業補償をした場合:労働基準法第84条第2項「使用者は、この法律による補償を行つた場合においては、同一の事由については、その価額の限度において民法による損害賠償の責を免れる。」
- 休業特別支給金:最高裁平成8年2月23日判決は「被災労働者が労災保険から受領した特別支給金をその損害額から控除することはできないというべきである。」としています。
- 慰謝料:労災保険には慰謝料に当たる給付がないため、慰謝料は会社や相手に請求しなければ受け取れません。
慰謝料の目安(赤い本の表)
慰謝料の額を定めた法令はありません。交通事故の損害賠償では、日弁連交通事故相談センター東京支部編「民事交通事故訴訟 損害賠償額算定基準」(通称 赤い本・最新は2026年版)の表が参考にされます。同センターは「あくまでも損害額算定のひとつの目安」と説明しています。このツールは、公開されている赤い本の表(別表Ⅰ・別表Ⅱ)に入院日数と通院期間を当てはめた目安を、30日を1か月として幅で示します。労災事故でこの表がそのまま使われるとは限りません。表の詳しい見方は弁護士基準慰謝料計算で説明しています。
日弁連交通事故相談センター「当センターの刊行物について(青本及び赤い本)」請求の期限(時効)
- 休業補償給付・休業給付:「これらを行使することができる時から二年を経過したとき」に時効で消えます(労災保険法第42条)。
- 不法行為による損害賠償:損害と加害者を知った時から3年、不法行為の時から20年(民法第724条)。人の生命・身体を害するものは3年が5年になります(第724条の2)。
- 債務不履行(安全配慮義務違反など)による損害賠償:権利を行使できることを知った時から5年、行使できる時から10年(民法第166条)。人の生命・身体の侵害によるものは10年が20年になります(第167条)。
よくある質問
労災保険から慰謝料は支払われますか?
結論:支払われません。労働者災害補償保険法第12条の8が定める業務災害の保険給付は「療養補償給付・休業補償給付・障害補償給付・遺族補償給付・葬祭料・傷病補償年金・介護補償給付」で、慰謝料はありません。慰謝料は、会社(安全配慮義務違反など)や事故の相手に対する損害賠償として、労災保険とは別に請求するものです。
休業補償はいくらもらえますか?
結論:休業4日目から、1日につき給付基礎日額の60%(休業(補償)給付)と20%(休業特別支給金)です。厚生労働省の例と同じ月20万円・3か月92日なら、給付基礎日額は6,522円、1日あたり3,913円+1,304円です。業務災害で30日休むと、支給は27日分で、休業補償給付105,651円と休業特別支給金35,208円になります。
休業の最初の3日間はどうなりますか?
結論:最初の3日間(待期期間)は労災保険から支給されません。業務災害なら、この間は会社が労働基準法第76条に基づき、1日につき平均賃金の60%を休業補償として支払います(上の例なら3日で約11,739円)。通勤災害には、会社のこの補償はありません。
通勤災害で200円が引かれるのはなぜですか?
結論:通勤災害で療養給付を受ける人は、最初の休業給付から一部負担金200円が差し引かれます(労災保険法第22条の2第3項・第31条第2項)。ただし、交通事故の相手など第三者の行為による事故は、施行規則第44条の2で一部負担金の対象から除かれています。上の例を通勤災害(第三者の行為ではない)にすると、休業給付は105,451円です。
会社や加害者に損害賠償を請求すると、労災の給付は差し引かれますか?
結論:同じ損害を二重に受け取らないよう調整されます。事故の相手(第三者)がいる場合について、労災保険法第12条の4は、政府が給付をしたときは給付の価額の限度で被災者の損害賠償請求権を取得し、先に相手から「同一の事由について損害賠償を受けたとき」は、その価額の限度で給付をしないことができると定めています。一方、休業特別支給金について最高裁(平成8年2月23日判決)は「特別支給金をその損害額から控除することはできない」と判断しています。
慰謝料の目安はいくらですか?
結論:慰謝料の額は法律で決まっていません。交通事故の損害賠償で参考にされる赤い本の表として公開されている値では、通院3か月(入院なし)が別表Ⅰで73万円、別表Ⅱで53万円、後遺障害慰謝料が第14級110万円〜第1級2,800万円です。労災事故でこの表がそのまま使われるとは限らず、実際の額は事案ごとに決まります。
労災と認定されれば、会社が慰謝料を払ってくれますか?
結論:自動的には払われません。労災保険の給付と会社の損害賠償の責任は別のもので、会社に損害賠償を求めるには、安全配慮義務(労働契約法第5条)違反による債務不履行(民法第415条)や不法行為(民法第709条・第715条)などの責任を別に主張する必要があります。
損害賠償や労災保険の請求に期限はありますか?
結論:あります。休業補償給付・休業給付を受ける権利は、行使できる時から2年で時効になります(労災保険法第42条)。損害賠償のうち人の生命・身体の侵害によるものは、不法行為なら損害と加害者を知った時から5年(民法第724条の2)または不法行為の時から20年(第724条)、債務不履行なら権利を行使できることを知った時から5年または行使できる時から20年(第166条・第167条)です。
関連ツール
このツールで扱わないこと
- 日給・時給・出来高払いの人の平均賃金の最低保障、雇入れ後3か月未満の場合、賃金の締切日による期間の調整、業務上の療養や産前産後などで休んだ期間を除く調整(労働基準法第12条)は計算しません(直前3か月の総額と暦日数をそのまま使います)。
- 給付基礎日額の最低保障額(自動変更対象額)、療養開始から1年6か月後の年齢階層別の限度額、賃金水準によるスライドは反映しません。
- 複数の会社で働く人(複数事業労働者)、一部だけ働いた日(部分算定日)、日雇特例被保険者(一部負担金100円)、特別加入者は扱いません。
- 療養・障害・遺族などほかの給付、会社や相手に請求できる損害賠償の額(休業損害・逸失利益・過失相殺)は計算しません。
- 慰謝料の目安は交通事故で参考にされる書籍の表で、実際に受け取れる額ではありません(入院11か月・通院15か月まで)。
本ツールは、労災保険法・厚生労働省の計算例に沿った休業の給付の見込みと、赤い本の表として公開されている値に当てはめた慰謝料の目安を表示するものです。弁護士監修はなく、実際の給付額は労働基準監督署の決定で、損害賠償の額は会社の責任の有無・過失・交渉や裁判所の判断で決まります。具体的な請求は労働基準監督署や弁護士にご相談ください。