簡易課税 計算ツール(無料・本則課税との比較対応)
業種(第1〜6種)を選ぶだけで消費税納付額を自動計算。本則課税・2割特例・3割特例を同時に比較し、特例の対象かどうかも判定します。
インボイス登録を機に課税事業者になった小規模事業者の「2割特例」は令和8年9月30日を含む課税期間をもって終了します。個人事業者は課税期間が暦年のため2026年分(令和8年分・2027年3月申告分)まで、法人は2026年9月30日を含む事業年度まで適用できます(対象は、インボイス登録を機に免税事業者から課税事業者になった基準期間の課税売上高1,000万円以下の事業者です。登録をしなくても課税事業者である事業者は対象外です。課税事業者選択届出書を出している場合は、一律に対象外ではなく、届出の時期などで扱いが分かれます。国税庁Q&A問115・問116で確認してください)。その後に備え、簡易課税 vs 本則課税の選択を今すぐ試算してください。
個人事業者限定:令和8年度税制改正(2026年3月成立)により、インボイス登録を機に免税事業者から課税事業者となった個人事業者は、2027年分・2028年分(令和9年分・令和10年分)の申告で「3割特例」(売上税額×30%)の対象になり得ます(法人は対象外)。主な要件は①個人事業者②基準期間の課税売上高1,000万円以下③インボイス発行事業者であること、です。事前の届出は不要ですが、申告書の所定欄に適用を受ける旨の記載が必要です。このほかの除外条件に当たる場合は対象外です(下の「このツールで判定しないこと」を参照)。
【30秒で試算】簡易課税の消費税納付額
- 簡易課税は「売上に係る消費税額×みなし仕入率」で仕入控除税額を計算する制度
- みなし仕入率は業種(第1〜6種)で90%〜40%と異なる
- 適用条件:基準期間の課税売上高5,000万円以下+事前届出
- 2割特例は「令和8年9月30日を含む課税期間」で終了(個人事業者は2026年分まで)→本則課税か簡易課税を選択
業種別みなし仕入率 早見表(第1〜6種)
簡易課税のみなし仕入率は、消費税法施行令第57条に定める事業区分(第1〜6種)によって決まります。自分の業種がどの区分かを確認してから上のツールを使ってください。
| 事業区分 | 業種例 | みなし仕入率 | 簡易課税が有利な目安 |
|---|---|---|---|
| 第1種(卸売業) | 問屋・商社・卸問屋 | 90% | 実際の仕入率が90%未満なら有利 |
| 第2種(小売業) | 小売店・農業(飲食料品販売) | 80% | 実際の仕入率が80%未満なら有利 |
| 第3種(製造業等) | 建設業・製造業・食品加工・農業(飲食料品以外) | 70% | 実際の仕入率が70%未満なら有利 |
| 第4種(その他) | 飲食店・人工出し(労務の提供のみの建設業)・加工賃のみの製造等 | 60% | 実際の仕入率が60%未満なら有利 |
| 第5種(サービス業等) | フリーランス・コンサル・士業・金融・保険・運輸・情報通信 | 50% | 実際の仕入率が50%未満なら有利(フリーランスは多くの場合ここ) |
| 第6種(不動産業) | 不動産の賃貸・売買・仲介 | 40% | 実際の仕入率が40%未満なら有利(仕入れが少ない業種では注意) |
簡易課税の計算方法と計算式
簡易課税の消費税納付額は以下の4ステップで計算します(消費税の基本計算ツール(税込・税抜) も参照)。
税込売上(標準10%)÷ 1.10 = 課税標準額(端数切捨て)
税込売上(軽減8%)÷ 1.08 = 課税標準額(端数切捨て)
ステップ2: 売上にかかる消費税額の計算
課税標準額(10%分)× 10% + 課税標準額(8%分)× 8% = 売上消費税合計
ステップ3: みなし仕入控除税額の計算
売上消費税合計 × みなし仕入率(90%〜40%)= 仕入控除税額
ステップ4: 納付すべき消費税額の計算
売上消費税合計 − 仕入控除税額 = 消費税納付額
複数事業を兼営している場合(原則法・75%特例)
2つ以上の事業区分にまたがる場合の計算方法です。
- 原則法: 事業区分ごとに売上消費税とみなし仕入税額を計算し合算する
- 75%特例: 1種類の事業の課税売上高が全体の75%以上なら、その事業のみなし仕入率を全体に適用できる。3種類以上の事業を営み、特定の2種類で75%以上なら、高い方の事業の売上にはその率、それ以外の売上には低い方の率を適用できる
- 区分していない場合: 売上を事業ごとに区分していない部分には、営む事業のうち一番低いみなし仕入率が適用される(選べる特例ではなく、区分漏れの扱い)
上の計算ツールは1つの事業区分だけを計算します。複数事業兼営の詳細な計算は国税庁の通達や税理士への相談を推奨します。
本則課税・簡易課税・2割特例 どれが有利か(計算例3パターン)
売上規模・業種別の3方式比較です。上のツールで実際に試算することを推奨します。
| ケース | 本則課税 | 簡易課税 | 2割特例 | 最有利 |
|---|---|---|---|---|
| フリーランス(第5種) 年間売上800万円(税込) | 約509,091円 (売上税727,272−仕入税218,181) | 約363,636円 (727,272×50%) | 約145,454円 (727,272×20%) | 2割特例 (他の要件を満たす場合) |
| 建設業(第3種) 年間売上3,000万円(税込) | 約1,909,091円 (売上税2,727,272−仕入税818,181) | 約818,182円 (2,727,272×30%) | 適用外 (基準期間1,000万円超) | 簡易課税 |
| 飲食店(第4種) 年間売上5,000万円(税込) | 約3,181,818円 (売上税4,545,454−仕入税1,363,636) | 約1,818,182円 (4,545,454×40%) | 適用外 (基準期間1,000万円超) | 簡易課税 |
※上記は概算値です。実際の納付額は個別の取引条件・端数処理・地方消費税により異なります。
2割特例・3割特例・簡易課税 移行スケジュール
簡易課税の適用条件と届出手続き
簡易課税を使うための主な条件は次のとおりです。届出は原則として事前に出します。
適用条件
- 基準期間の課税売上高が5,000万円以下(前々年 or 前々事業年度)
- 「消費税簡易課税制度選択届出書」を事前に提出している
- 課税事業者であること(免税事業者は対象外。国内に恒久的施設を持たない国外事業者も使えません)
このツールで判定しないこと
2割特例・3割特例の表示は「入力した範囲では対象になり得る」という意味で、対象の確定ではありません。次の事情は判定に入れていません。
- 特定期間(前年の前半6か月)の課税売上高・給与等支払額による免税事業者の判定
- 相続・合併・会社分割があった場合の取扱い
- 新設法人・特定新規設立法人の免税制限
- 調整対象固定資産(税抜100万円以上)・高額特定資産(税抜1,000万円以上)を一般課税で取得した場合の制限期間
- 金・白金の地金などを一般課税で税抜200万円以上仕入れた場合の制限
- 課税期間を1か月・3か月に短縮している場合
- 国内に恒久的施設を持たない国外事業者
- 課税事業者選択届出書を出している場合の細かな取扱い(国税庁Q&A問115・問116)
ここに挙げていない個別の事情は判定に入れていません。税務署・税理士に確認してください。
届出書の提出期限
- 個人事業者: 適用したい年の前年12月31日まで
- 法人: 適用する事業年度の開始日前日まで
例外があります。①事業を開始した課税期間は、その課税期間中に届出を出せば、その課税期間から適用できます。②免税事業者がインボイス発行事業者の登録を受けて課税事業者になる場合(令和5年10月1日から令和11年9月30日までの日を含む課税期間)は、登録を受けた日の属する課税期間中に届出を出せば、その課税期間から適用できます。③2割特例・3割特例の適用を受けた翌課税期間から簡易課税を使う場合は、その翌課税期間の確定申告期限までに届出を出せば足ります(その翌課税期間が令和8年9月30日以前に終わる課税期間のときは、その課税期間の末日まで)。④災害その他やむを得ない事情で前日までに出せなかった場合は、届出期限の特例があります。なお、調整対象固定資産や高額特定資産を取得した場合は届出ができない期間があり、このツールでは判定しません。
選択をやめたい場合(2年縛りに注意)
- 一度選択すると2年間は継続適用が原則(消費税法第37条第6項)
- やめる場合は「消費税簡易課税制度選択不適用届出書」を提出
- 設備投資が多い年は本則課税で消費税還付が受けられる可能性あり → 計画的に切替を
インボイス登録と簡易課税の損得判断
インボイス未登録(免税事業者)から課税事業者になる際の注意点を整理します。
| 状況 | 推奨手段 | 理由 |
|---|---|---|
| 売上1,000万円以下・免税事業者 | 免税継続を検討 | インボイス登録で課税事業者になると消費税納付が発生 |
| 登録を機に課税事業者になった・基準期間の課税売上高1,000万円以下 | 2026年分まで2割特例を活用(登録を機に課税事業者になった場合) | 売上税額の20%のみ納付(業種によっては簡易課税のほうが軽い場合もあります) |
| 2027年分以降・個人事業者 | 簡易課税 or 3割特例(2027〜2028年分) | 2割特例終了後の選択肢を今から比較・届出検討 |
| 設備投資が多い事業者 | 本則課税で消費税還付を狙う | 簡易課税では還付不可(みなし仕入控除のみ) |
インボイス消費税計算ツール(本則vs簡易vs2割特例) でインボイス登録の損得判断もできます。
よくある質問(FAQ)12問
Q1. 簡易課税と本則課税どちらが得ですか?
Q2. みなし仕入率が判断できない場合はどうすればいいですか?
Q3. 基準期間の課税売上高が5,000万円を超えたら?
Q4. 簡易課税の届出書はいつまでに提出すればいいですか?
Q5. 一度選択したら変更できませんか?
Q6. 2割特例はいつ終わりますか?
Q7. 3割特例は法人も使えますか?
Q8. 飲食業と不動産業を兼営している場合、みなし仕入率は何%ですか?
Q9. 軽減税率8%の売上がある場合の計算方法は?
Q10. フリーランス(業務委託)は第何種事業に該当しますか?
Q11. インボイス未登録のままでも簡易課税を選択できますか?
Q12. freee・マネーフォワードで簡易課税の消費税申告は自動化できますか?
業種区分の判定方法(独自解説・よくある迷いケース)
みなし仕入率は業種区分によって大きく異なるため、正確な判定が節税の鍵です。計算ナビ編集部が実際に多い迷いケースを独自にまとめました(2026-05-25確認)。
| 職種・ケース | 判定区分 | みなし仕入率 | 根拠・注意点 |
|---|---|---|---|
| Webデザイナー・エンジニア(フリーランス) | 第5種 | 50% | サービス業(情報通信業)に該当 |
| 建設業(工事の請負・下請け) | 第3種 | 70% | 製造・加工に準ずる建設工事 |
| 人工出し(材料を伴わない労務の提供のみ) | 第4種 | 60% | 建設工事の請負ではなく労務の提供のため第4種(国税庁質疑応答事例) |
| コンサルタント・士業(税理士・社労士等) | 第5種 | 50% | サービス業。医業は別途注意 |
| Amazon・楽天の小売(ECサイト) | 第2種 | 80% | 一般消費者への小売販売 |
| 不動産管理業(賃貸管理代行) | 第6種 | 40% | 不動産業全般 |
Q13. ITエンジニア・プログラマーは第何種事業ですか?【独自解説】
Q14. 簡易課税で消費税の還付は受けられますか?
Q15. 簡易課税の消費税申告書の提出先と期限は?
Q16. 副業売上200万円の場合、簡易課税の消費税はいくらですか?
Q17. 簡易課税選択中に売上が5,000万円を超えた場合は?
出典・公式情報源
本ページの計算ロジックおよび制度情報は、以下の公式情報源をもとにしています(2026-05-23確認)。
- 国税庁「No.6505 簡易課税制度」(令和7年4月現在)
- 国税庁「No.6509 簡易課税制度の事業区分」
- 国税庁「2割特例(インボイス発行事業者となる小規模事業者)」
- 国税庁「消費税簡易課税制度選択届出書」の書式・提出案内
- 国税庁「事業区分のフローチャート(照会事例)」
- 国税庁「インボイス制度特設サイト」
- e-Gov「消費税法(昭和63年法律第108号)第37条」