不動産キャッシュフローの計算式(Excel・スプレッドシート用)
Excel・Googleスプレッドシートに貼り付けて使う計算式の解説です(ダウンロードするファイルはありません)。Web版と同じ順序・同じ丸めで計算し、家賃下落率と修繕費の増加率を置いた10年分の表も作れます。
シート1: 入力セルの配置
Sheet1 の B列に数値を入れます。サンプル値は Web版の初期値と同じで、すべて計算例の仮定です。
| セル | 項目 | サンプル値 | 単位 |
|---|---|---|---|
| B2 | 物件価格 | 2000 | 万円 |
| B3 | 借入額 | 1600 | 万円 |
| B4 | 年利(金利) | 2 | % |
| B5 | 返済期間 | 30 | 年(整数) |
| B6 | 月間家賃収入(満室時) | 10 | 万円 |
| B7 | 空室率 | 10 | % |
| B8 | 管理費(月額) | 0.5 | 万円 |
| B9 | 修繕積立金(月額) | 0.3 | 万円 |
| B10 | 固定資産税・都市計画税(年額) | 10 | 万円 |
| B11 | 火災保険料・地震保険料(年額) | 1.5 | 万円 |
| B12 | 年間の家賃下落率(シート2で使用) | 1 | %(説明用の仮定) |
| B13 | 年間の修繕積立金の増加率(シート2で使用) | 5 | %(説明用の仮定) |
シート1: 計算式(E列)
Sheet1 の E列に貼り付けます。年額で計算してから月平均を出す順序と、月返済額・年間の家賃実収入・年間の運営経費・シート2の各年の年間CFを ROUND で円未満四捨五入する丸めは Web版と同じです(コピーしても累積CFの円表示がWeb版とずれません)。サンプル値での結果を右に書いています。
' E2: 月返済額(元利均等・円未満四捨五入) → 59,139円 =ROUND(PMT(B4/100/12, B5*12, -B3*10000), 0) ' E3: 年間の家賃実収入(空室控除後) → 1,080,000円 =ROUND(B6*10000*12*(1-B7/100), 0) ' E4: 年間の運営経費 → 211,000円 =ROUND((B8+B9)*10000*12+(B10+B11)*10000, 0) ' E5: 年間NOI → 869,000円 =E3-E4 ' E6: 年間キャッシュフロー(税引前) → 159,332円 =E5-E2*12 ' E7: 月平均(年間CF÷12) → 13,278円 =ROUND(E6/12, 0) ' E8: 10年の単純合計(返済期間が10年未満なら返済は期間分だけ) → 1,593,320円 =E5*10-E2*12*MIN(10, B5) ' E9: 表面利回り(%) → 6.00 =IF(B2>0, B6*12/B2*100, "物件価格を入力してください") ' E10: NOI利回り(%・物件価格で割る) → 4.35 =IF(B2>0, E5/(B2*10000)*100, "物件価格を入力してください") ' E11: CF利回り(%・諸費用を除く頭金で割る) → 3.98 =IF(B2-B3>0, E6/((B2-B3)*10000)*100, "頭金(物件価格−借入額)が0以下です") ' E12: 初回返済の利息部分 → 26,666.67円 =IPMT(B4/100/12, 1, B5*12, -B3*10000) ' E13: 初回返済の元金部分 =PPMT(B4/100/12, 1, B5*12, -B3*10000) ' E14: 120回目(10年目の最後)の利息部分(返済期間が10年未満なら「返済終了」) =IF(B5*12>=120, IPMT(B4/100/12, 120, B5*12, -B3*10000), "返済終了")
E12・E13 は丸めていないので、セルの表示形式で桁を決めてください(Web版は初回利息を円未満四捨五入して表示します)。
シート2: 10年分の表(家賃下落率・修繕費の増加率つき)
Sheet2 を作り、1行目を見出し、2〜11行目を1〜10年目にします。下落率・増加率は Sheet1 の B12・B13 に置き、Sheet2 の各列は計算専用にしています。Sheet1 を指す参照はすべて $ 付きの絶対参照なので、3行目の式をそのまま11行目までコピーできます。
' 列: A=年次 / B=月間家賃(満室・万円) / C=修繕積立金(月額・万円) ' D=その年の返済額 / E=その年の年間CF(税引前) / F=累積CF ' A2: 1 A3: =A2+1(11行目までコピー) ' B2(1年目の家賃) =Sheet1!$B$6 ' B3(2年目以降・毎年 (1−下落率) 倍) =B2*(1-Sheet1!$B$12/100) ' C2(1年目の修繕積立金) =Sheet1!$B$9 ' C3(2年目以降・毎年 (1+増加率) 倍=複利で増える) =C2*(1+Sheet1!$B$13/100) ' D2(返済期間を過ぎた年は0。3行目以降も同じ式をコピー) =IF(A2<=Sheet1!$B$5, Sheet1!$E$2*12, 0) ' E2(3行目以降も同じ式をコピー) =ROUND(B2*10000*12*(1-Sheet1!$B$7/100)-(Sheet1!$B$8+C2)*10000*12-(Sheet1!$B$10+Sheet1!$B$11)*10000-D2, 0) ' F2: =E2 F3: =F2+E3(11行目までコピー)
修繕積立金は「(1+増加率)^(経過年数)」で増えるので、増加率5%なら3年目は1年目の1.1025倍です(1+5%×2=1.10倍ではありません)。下落率・増加率をどちらも0にすると、毎年の年間CFは Sheet1 の E6 と同じになり、F11 は E8 と一致します(返済期間が10年以上の場合)。
サンプル値での結果(下落率1%・増加率5%・説明用の仮定)
| 年 | 年間CF | 累積CF | 率0%の場合の累積 |
|---|---|---|---|
| 1年目 | 159,332円 | 159,332円 | 159,332円 |
| 2年目 | 146,732円 | 306,064円 | 318,664円 |
| 3年目 | 134,150円 | 440,214円 | 477,996円 |
| 4年目 | 121,580円 | 561,794円 | 637,328円 |
| 5年目 | 109,017円 | 670,811円 | 796,660円 |
| 6年目 | 96,455円 | 767,266円 | 955,992円 |
| 7年目 | 83,887円 | 851,153円 | 1,115,324円 |
| 8年目 | 71,307円 | 922,460円 | 1,274,656円 |
| 9年目 | 58,708円 | 981,168円 | 1,433,988円 |
| 10年目 | 46,083円 | 1,027,251円 | 1,593,320円 |
使い方の注意
- PMT・IPMT・PPMTの借入額はマイナスで入れると、結果がプラスで表示されます
- 家賃下落率・修繕費の増加率のサンプル値は説明用の仮定で、相場や推奨値ではありません。物件の過去の家賃・修繕計画に置き換えてください
- 金利は一定の前提です。変動金利の金利変更や返済額の再計算は入っていません
- CF利回りの分母は諸費用を除く頭金(物件価格−借入額)です。借入を増やすと頭金は減りますが返済額が増えるため、CF利回りが上がるか下がるかは条件次第です(サンプル値で借入を1,600万円から1,800万円にすると3.983%→3.531%に下がります)
- NOI利回りは物件価格で割るので、購入時の諸費用は入りません
よくある質問
Excelで元利均等返済の月返済額を計算する関数は?
PMT関数を使います。=PMT(年利/100/12, 返済期間年数*12, -借入額*10000) で月返済額が出ます。借入1,600万円・金利2%・30年なら約59,139円(丸める前は59,139.12円)です。借入額にマイナスを付けると結果がプラスで表示されます。Web版と金額をそろえるため、このページの式は ROUND で円未満を四捨五入しています。
Excelで利息部分だけを計算する関数は?
IPMT関数を使います。=IPMT(年利/100/12, 返済回数, 総返済回数, -借入額*10000) で指定した回の利息部分が出ます。上の例の初回は26,666.67円です。元金部分はPPMT関数で出せます。
Googleスプレッドシートでも同じ計算式は使えますか?
GoogleスプレッドシートにもPMT・IPMT・PPMT・ROUND・IF・MIN関数があり、このページの式はそのまま貼り付けて使えます。シート名(Sheet1・Sheet2)は自分のファイルに合わせて書き換えてください。
10年分の表では何を変えられますか?
このページの表は、家賃の下落率と修繕積立金の増加率を毎年同じ率で動かします。管理費・固定資産税等・保険料・空室率・金利は一定のままで、変動金利の金利変更や返済額の再計算、売却時の残債や売却益は入っていません。例で使う下落率1%・増加率5%は説明用の仮定で、相場や推奨値ではありません。
Webツールとエクセルの違いは?
Web版の計算ツールは、初年度の条件で税引前の年間CFと10年の単純合計を出します。このページの式は同じ計算を表計算ソフトで再現したうえで、家賃下落率と修繕費の増加率を置いた年ごとの表を作れます。同じ入力なら1年目の年間CFは両方で一致します。 → 不動産CF計算ツール(Web版)
ExcelでNOI利回りを計算するには?
NOI利回りは「(年間の家賃実収入 − 年間の運営経費)÷ 物件価格 × 100」です。下の式一覧のE10セルで計算します。物件価格で割るため、購入時の諸費用は分母に入りません。
関連ツール
本ページの計算式は概算値です。実際の返済額・CF・税額は金融機関の契約条件・税務状況・物件個別事情により異なります。不動産投資の最終判断は不動産会社・税理士・ファイナンシャルプランナーにご相談ください。
- ダウンロードできるファイル(式をコピーして使う形です)
- 所得税・住民税、減価償却、購入時の諸費用、売却時の残債・売却益
- 金利の変更・繰上返済・空室率や管理費の年ごとの変化