役員報酬シミュレーター(無料)
会社の利益と役員報酬(月額)を入れると、法人の税・会社と本人の社会保険料・本人の所得税と住民税の合計、本人の手取り、会社に残るお金を計算します。
こんな方向け:役員報酬を決める中小企業の経営者・役員、報酬を上げ下げしたときに会社と個人の負担がどう変わるかを知りたい方
入力
売上から経費を引いた1年分の利益。役員報酬・その社会保険料(会社負担分)・事業税は引く前の金額です(0〜10,000万円)。
毎月同じ額を12か月払う前提(定期同額給与・賞与なし)。0円も計算できます(0〜1,000万円)。
60歳以上は計算できません。
計算結果
このツールで扱わないこと
- 今年1年分の比較です。会社に残したお金を後で給与・賞与・配当・退職金として受け取るときの税金、厚生年金・健康保険の将来の給付は計算に入れていません。
- 東京23区以外の自治体、超過税率(東京都では所得が年2,500万円を超える、または法人税額が年1,000万円を超えると適用)、2以上の都道府県に事務所がある場合の分割、資本金1億円超(外形標準課税)、資本金等1,000万円超または従業者50人超の均等割は計算しません。
- 軽減税率が使えない法人(期末資本金5億円以上の法人などの100%子会社、適用除外事業者など)、グループ通算制度、12か月でない事業年度、令和8年3月31日以前に開始した事業年度(防衛特別法人税がかからない)は計算しません。
- 欠損金の繰越(前年までの赤字との相殺)、事前確定届出給与(賞与)・業績連動給与・退職金、複数の役員や家族への給与、消費税は計算しません。
- 健康保険組合・東京以外の協会けんぽの料率、60歳以上、配偶者控除・扶養控除などの所得控除は扱いません。役員と同時に従業員の身分があり、雇用保険に入る兼務役員も対象外です。
- 役員給与が損金に入る要件(定期同額給与などに当たるか、不相当に高額でないか)は判定しません。
役員報酬ごとの比較(入力した利益)
会社の利益1,000万円・40歳未満の場合。会社が赤字にならない報酬を並べ、入力した報酬(◀)と、候補の中で合計負担が最小の報酬(最小)を加えています。金額は万円(小数1桁)。
| 役員報酬(月額) | 法人の税 | 社会保険料(会社+本人) | 本人の所得税・住民税 | 合計負担 | 本人の手取り | 会社に残るお金 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 0万円 | 246.9万円 | 23.5万円 | 0万円 | 270.4万円 | −23.5万円 | 753.1万円 |
| 10万円 | 200.9万円 | 33.8万円 | 0.5万円 | 235.2万円 | 102.8万円 | 662万円 |
| 11.3万円(最小) | 195.2万円 | 37.9万円 | 0.5万円 | 233.7万円 | 116.4万円 | 650万円 |
| 20万円 | 167.4万円 | 69万円 | 9.6万円 | 246万円 | 196.3万円 | 557.7万円 |
| 30万円 | 135.6万円 | 103.5万円 | 19.8万円 | 258.8万円 | 289.2万円 | 452.1万円 |
| 40万円 ◀ | 103.3万円 | 141.4万円 | 31.4万円 | 276.1万円 | 378.8万円 | 345.1万円 |
| 50万円 | 73.8万円 | 172.4万円 | 46.3万円 | 292.5万円 | 468.6万円 | 238.9万円 |
| 60万円 | 44.8万円 | 203.5万円 | 71.7万円 | 320万円 | 547.8万円 | 132.2万円 |
| 70万円 | 16.1万円 | 231.4万円 | 100.3万円 | 347.9万円 | 625.4万円 | 26.8万円 |
どの行も「本人の手取り+会社に残るお金+合計負担=会社の利益」です。報酬0円の行は、本人が国民健康保険(東京23区)と国民年金に入る前提です。
計算の前提
- 中小法人(期末の資本金が1億円以下)で、法人税の軽減税率(年800万円以下の部分15%、超える部分23.2%)が使える法人。
- 事務所は東京23区だけ・資本金等1,000万円以下・従業者50人以下(法人住民税の均等割は年7万円)。税率は標準税率(法人税割7%、法人事業税3.5%・5.3%・7%、特別法人事業税は事業税の37%)。地方法人税は法人税額の10.3%。
- 事業年度は12か月で、令和8年4月1日以後に開始するもの。防衛特別法人税(法人税額から年500万円を引いた額の4%)を含みます。
- 事業税は申告した年の損金になるため、毎年同じ利益が続く前提で「今年損金になる前年分の事業税=今年分」として計算します。会社負担の社会保険料も会社の費用(損金)です。
- 社会保険は協会けんぽ東京・令和8年度の料率。健康保険・厚生年金・子ども・子育て支援金は会社と本人が半分ずつ、子ども・子育て拠出金(0.36%)は会社だけが負担します。役員は原則として雇用保険に入らないので、雇用保険料は入れていません。
- 本人の所得税は2026年分、住民税はその所得にかかる令和9年度分(前年の所得にかかるため)。所得控除は基礎控除と社会保険料控除だけです。
役員報酬の3類型と損金算入の要件
法人税法上、役員給与を損金(経費)にできるのは定期同額給与・事前確定届出給与・業績連動給与の3類型に限られます(法人税法34条1項)。 いずれにも当たらない役員給与は損金に入りません。当たる場合でも、不相当に高額な部分は損金に入りません。
1. 定期同額給与
支給時期が1か月以下の一定の期間ごとで、その事業年度の各支給時期の支給額が同じ給与です。実務でもっとも多く使われる方式で、このツールはこの形(毎月同額・12か月)で計算します。
- 通常の改定:会計期間開始の日から3か月を経過する日まで(申告期限の延長の特例の指定を受けている法人は、指定の月数に2を加えた月数)にした改定なら、改定の前後でそれぞれ同額であれば定期同額給与になります(法人税法施行令69条1項1号イ)。継続して毎年決まった時期に改定していて、3か月を過ぎることに特別の事情がある場合は、その時期までの改定も認められます。
- 臨時改定:役員の職制上の地位の変更、職務の内容の重大な変更など、やむを得ない事情による改定(増額・減額とも)(同号ロ)
- 業績悪化による改定:経営の状況が著しく悪化したことなどによる減額の改定だけ(同号ハ)。一時的な資金繰りの都合や、業績目標に届かなかっただけの場合は当たりません。
2. 事前確定届出給与
あらかじめ支給時期・金額を定めて税務署に届け出たとおりに支給する給与です。役員の賞与を損金にしたい場合に使われます(定期給与を払わない役員に、同族会社でない法人が金銭で払う給与などは届出が要りません)。
- 届出期限(原則):株主総会等で決議した日(決議の日が職務の執行を開始する日より後なら、その開始の日)から1か月を経過する日と、会計期間開始の日から4か月を経過する日(延長の特例の指定を受けている法人は月数が変わります)の、いずれか早い日(法人税法施行令69条4項1号)
- 新しく設立した法人:設立の時に始まる職務について定めた場合は、設立の日以後2か月を経過する日まで
- 臨時改定事由が生じた場合、届け出た内容を臨時改定事由・業績悪化で変える場合は、それぞれ別の期限があります
- 届け出た支給額と実際の支給額が違うと事前確定届出給与に当たらず、原則としてその支給額の全額が損金に入りません(法人税基本通達9-2-14)
3. 業績連動給与
利益・株価・売上高などの指標を基礎に算定される給与です。損金に入るのは、次の要件をすべて満たすものに限られます。
- 同族会社でない法人、または同族会社のうち同族会社以外の法人による完全支配関係がある法人が、業務執行役員に支給するもの
- 他の業務執行役員の全員にも、要件を満たす業績連動給与を支給すること。算定方法は確定額(確定数)を限度とし、他の業務執行役員と同様のもの
- 会計期間開始の日から3か月を経過する日までに報酬委員会等が算定方法を決めるなど適正な手続を経て、有価証券報告書等で開示していること。決められた期限までに交付し、損金経理していること
出典:国税庁「No.5211 役員に対する給与(平成29年4月1日以後支給決議分)」(令和8年4月1日現在法令等)、e-Gov法令検索「法人税法施行令」第69条・「法人税法」第34条(いずれも2026-10-13確認)。
役員報酬と社会保険料
役員報酬を上げると会社の所得が減って法人の税は下がりますが、本人の所得税・住民税と社会保険料が増えます。社会保険料は会社も本人と同じくらい負担するので、報酬を上げると会社側の費用も増えます。このツールは会社負担分も合計負担に入れて比べます。
社会保険料は報酬そのものではなく標準報酬月額に料率を掛けて決まります。厚生年金の標準報酬月額は65万円(第32級)が上限なので、それを超える報酬では厚生年金保険料が増えません(等級表は日本年金機構)。 また、会社の取締役や役員は原則として雇用保険の被保険者にならないため、雇用保険料はかかりません(厚生労働省「雇用保険制度」Q&A)。
計算の考え方(具体例)
会社の利益1,000万円、役員報酬 月額40万円(年480万円)、40歳未満の場合、次の順番で計算します。
- 社会保険料:標準報酬月額410,000円で、本人698,136円・会社715,872円(会社分は子ども・子育て拠出金17,712円を含む)
- 会社の所得:利益 − 役員報酬 − 会社負担の社会保険料 − 事業税等211,500円 = 4,272,000円(1,000円未満切捨て)
- 法人の税:法人税640,800円・地方法人税65,900円・防衛特別法人税0円・法人税割44,800円・均等割70,000円・事業税と特別法人事業税211,500円 = 1,033,000円
- 本人の税:所得税(2026年分・復興特別所得税を含む)84,700円、住民税(令和9年度)229,500円
- 合計負担 2,761,208円、本人の手取り3,787,664円、会社に残るお金3,451,128円(3つの合計が利益10,000,000円と一致)
報酬をいくつか変えて同じ計算をしたのが、上の比較表です。実際の金額はページ上部の入力欄に数値を入れて計算してください。
よくある質問
役員報酬は毎月同額でないといけない?
結論:定期同額給与として損金に入れるには、原則として事業年度の各支給時期の支給額を同じにします。額を変えられるのは、会計期間開始の日から3か月を経過する日まで(申告期限の延長の特例を受けている法人は、延長の月数に2を加えた月数)にする通常の改定、役員の地位の変更などやむを得ない事情による臨時改定、経営の状況が著しく悪化したことなどによる減額の改定です。
役員報酬を高くすると節税になる?
結論:役員報酬を増やすと会社の所得が減って法人の税は下がりますが、本人の所得税・住民税と、会社・本人の社会保険料が増えます。どちらが小さくなるかは利益と報酬の組み合わせで変わるので、上の計算で比べてください。
役員報酬の最適額の目安は?
結論:一律の目安はありません。たとえば会社の利益1,000万円・40歳未満・東京23区などの前提で計算すると、今年1年の合計負担が最も小さかったのは月額11.3万円(月1万円刻みで調べた候補の中で)で、そのとき会社に650万円が残ります。会社に残したお金を後で給与・配当・退職金として受け取るときの税金や、厚生年金の将来の給付はこの合計に入らないため、合計負担だけで報酬を決めないでください。
関連ツール
本ツールは上の前提での目安計算です。実際の税額・保険料は、自治体の税率・会社の状況・届出の内容などで変わります。報酬の決定は税理士・社会保険労務士等にご相談ください。法改正・料率改定により計算式が変更される場合があります。