社会保険・年金の用語集
健康保険・厚生年金・雇用保険など社会保険制度と、公的年金の受給に関する専門用語です。
健康保険 (けんこうほけん)
健康保険とは、会社員・公務員等が加入する医療保険制度です。保険料は標準報酬月額に保険料率を掛けて計算し、労使折半で負担します。全国健康保険協会(協会けんぽ)の2024年度の平均保険料率は約10%です(都道府県により異なる)。医療費の自己負担は原則3割です。
厚生年金 (こうせいねんきん)
厚生年金とは、会社員・公務員等が加入する公的年金制度です。保険料率は2017年以降18.3%(労使折半で各9.15%)に固定されています。標準報酬月額に保険料率を掛けて計算します。老齢厚生年金として65歳から受給でき、加入期間・標準報酬月額に基づいて年金額が決まります。
国民年金 (こくみんねんきん)
国民年金とは、20歳以上60歳未満のすべての国民が加入する公的年金制度(1階部分)です。2024年度の保険料は月額16,980円です。40年間(480か月)すべて納付すると老齢基礎年金を満額受給でき、2024年度の満額は月額68,000円(年額816,000円)です。
国民健康保険 (こくみんけんこうほけん)
国民健康保険(国保)とは、会社の健康保険に加入していない自営業者・フリーランス・退職者等が加入する医療保険制度です。保険料は前年の所得をもとに市区町村ごとに計算されます。所得割・均等割・平等割で構成され、自治体によって保険料が大きく異なります。
雇用保険 (こようほけん)
雇用保険とは、失業した際の生活保障(失業等給付)や再就職支援のための社会保険制度です。週20時間以上・31日以上の雇用見込みがある労働者は加入が義務付けられています。保険料率は2024年度に一般の事業で労働者0.6%・事業主1.55%です。育児休業給付金・教育訓練給付も雇用保険から支給されます。
標準報酬月額 (ひょうじゅんほうしゅうげつがく)
標準報酬月額とは、健康保険・厚生年金の保険料計算に使われる基準額です。実際の月給(残業代・通勤手当等を含む)を1〜50等級の区分に当てはめて決定します。4・5・6月の平均報酬をもとに、9月から翌年8月の標準報酬月額が見直されます(定時決定)。
被扶養者 (ひふようしゃ)
被扶養者とは、健康保険において主たる被保険者(会社員等)の扶養に入り、保険料を別途支払わずに医療保険の給付を受けられる家族のことです。収入要件は年収130万円未満(60歳以上・障害者は180万円未満)かつ被保険者の年収の半分未満です。ただし配偶者を除く19歳以上23歳未満の親族は、年収要件が150万円未満に引き上げられています。年収106万円超で一定要件を満たす場合は自身で社会保険に加入しますが、この賃金要件(月額8.8万円)は令和7年6月から3年以内に撤廃されることが決まっています。(出典: 厚生労働省「年収の壁」への対応、2026-08-26確認)
年収の壁(103万円・旧基準) (ねんしゅうのかべ103まんえん)
103万円の壁とは、令和6年分(2024年)以前に適用されていた所得税の非課税ライン(給与所得控除55万円+基礎控除48万円)です。令和7年分(2025年)の税制改正でこの基準は撤廃され、さらに令和8年度税制改正により令和8年分(2026年)以後は、扶養控除等の所得要件ライン136万円(給与所得控除74万円+扶養親族の合計所得要件62万円)と、本人の所得税非課税ライン178万円(給与所得控除74万円+基礎控除最大104万円)の2つに分かれています。令和7年分はそれぞれ123万円・160万円でした。(出典: 国税庁「源泉所得税の改正のあらまし(令和8年4月)」、2026-08-31確認)
年収の壁(106万円) (ねんしゅうのかべ106まんえん)
106万円の壁とは、パート・アルバイトが社会保険(健康保険・厚生年金)の加入義務が生じる可能性があるラインです。週20時間以上・月額賃金8.8万円以上(月額88,000円×12か月≒106万円)等の要件を満たす場合、従業員数51人以上の企業で社会保険に加入する必要があります。
年収の壁(130万円) (ねんしゅうのかべ130まんえん)
130万円の壁とは、年収が130万円を超えると被扶養者(扶養家族)の要件を満たさなくなり、自身で国民健康保険・国民年金に加入する必要が生じるラインです。配偶者の健康保険の扶養から外れると社会保険料の自己負担が発生します。130万円を少し超えた場合は手取りが減る逆転現象が起きることがあります。
高額療養費 (こうがくりょうようひ)
高額療養費制度とは、1か月間の医療費の自己負担が一定額(自己負担限度額)を超えた場合に、超えた分が払い戻される制度です。自己負担限度額は年収によって異なり、令和8年8月〜令和9年7月診療分では年収約370〜770万円の区分が85,800円+(医療費−286,000円)×1%です。また令和8年8月診療分からは年単位の上限額(同区分で530,000円)が設けられています。事前に限度額適用認定証を取得すれば窓口での支払いを限度額にとどめられます。
傷病手当金 (しょうびょうてあてきん)
傷病手当金とは、病気やけがで仕事を休んだ場合に健康保険から支給される給付金です。連続3日間の待期期間の後、4日目以降の休業日に支給されます。支給額は標準報酬日額(標準報酬月額÷30)の3分の2で、支給期間は通算1年6か月です。自営業者が加入する国民健康保険には原則として傷病手当金がありません。
iDeCo(個人型確定拠出年金) (いでこ)
iDeCo(イデコ)とは、個人が任意で加入できる私的年金制度です。毎月の掛金は全額所得控除の対象となります。運用益は非課税で、60歳以降に一時金または年金として受け取れます。受取時は退職所得控除または公的年金等控除が適用されます。2024年12月から企業年金なし会社員の掛金上限が月5.5万円に引き上げられました。
公的年金 (こうてきねんきん)
公的年金とは、老後・障害・死亡に備えるための国が運営する社会保障制度です。日本の年金制度は2階建て構造で、1階が国民年金(基礎年金)、2階が厚生年金です。受給開始年齢は原則65歳ですが、60〜75歳の間で繰り上げ・繰り下げが可能です。繰り下げ受給は1か月につき0.7%増額されます。
介護保険 (かいごほけん)
介護保険とは、40歳以上の国民が加入する社会保険制度で、介護が必要になった際にサービスを受けられます。40〜64歳(第2号被保険者)は医療保険と一体で徴収され、65歳以上(第1号被保険者)は年金から天引きまたは直接納付します。介護が必要と認定されると、要介護度に応じてサービス費用の1〜3割の自己負担でサービスを利用できます。
任意継続被保険者 (にんいけいぞくひほけんしゃ)
任意継続被保険者とは、退職後も最長2年間、在職中の健康保険に継続加入できる制度です。保険料は退職時の標準報酬月額を基に計算され、在職中と異なり全額自己負担(労使折半なし)となります。国民健康保険への加入と比較して保険料・給付内容を確認し有利な方を選ぶことが重要です。加入は退職後20日以内に手続きが必要です。
年金の繰り下げ受給 (ねんきんのくりさげじゅきゅう)
年金の繰り下げ受給とは、老齢年金の受給開始を65歳より遅らせる制度です。繰り下げた月数×0.7%が年金額に加算され、70歳まで繰り下げると42%増、75歳まで繰り下げると最大84%増となります(2022年4月〜)。繰り下げ中は無年金期間となるため、健康状態・資産状況を踏まえた判断が必要です。
在職老齢年金 (ざいしょくろうれいねんきん)
在職老齢年金とは、60歳以降も働きながら老齢厚生年金を受け取る場合に適用される支給調整の仕組みです。総報酬月額相当額(標準報酬月額+直近1年の標準賞与額の1/12)と基本月額(年金の月額)の合計が支給停止調整額を超えると、超えた分の2分の1が年金から支給停止されます。支給停止調整額は令和8年4月から65万円で、毎年度、賃金の変動に応じて改定されます。支給停止の対象は老齢厚生年金(報酬比例部分)のみで、老齢基礎年金は対象外です。停止分は退職・75歳到達時に再計算されます。
社会保険加入判定 (しゃかいほけんかにゅうはんてい)
社会保険(健康保険・厚生年金)の加入判定とは、パート・アルバイト等の短時間労働者の加入義務を判定することです。2024年10月から従業員51人以上の事業所では、週20時間以上・月額賃金8.8万円以上・2か月超の雇用見込み・学生でないことの4要件をすべて満たす場合に加入義務が生じます。月額賃金8.8万円以上という賃金要件は2026年10月に撤廃される予定です(施行期日は法律の公布から3年以内で政令で定める日)。従業員数要件(51人以上)はその後2027年10月から2035年10月にかけて段階的に縮小されます。
178万円の壁(令和8年分〜の所得税非課税ライン) (ねんしゅうのかべ178まんえん)
「178万円の壁」とは、令和8年分(2026年)以後の所得税がかからない給与年収の上限(給与所得控除74万円+基礎控除104万円=178万円)です。令和8年度税制改正で基礎控除の本則が62万円に引き上げられ、租税特別措置法の加算42万円(合計所得489万円以下)と、給与所得控除の最低保障額の特例5万円(本則69万円+5万円=74万円)が加わったことで成立しました。令和7年分(2025年)は95万円+65万円=160万円、令和10年分(2028年)以後は加算・特例が縮小して99万円+69万円=168万円になります。なお令和8年11月までの毎月の源泉徴収事務に変更はなく、令和8年12月の年末調整または確定申告で精算されます。(出典: 国税庁「源泉所得税の改正のあらまし(令和8年4月)」、2026-08-31確認)
後期高齢者医療制度 (こうきこうれいしゃいりょうせいど)
後期高齢者医療制度とは、75歳以上(一定の障害がある場合は65歳以上)の方が加入する独立した医療保険制度です。自己負担割合は原則1割ですが、一定以上の所得がある方は2割または3割です。保険料は都道府県の広域連合ごとに設定され、年金から天引きまたは口座振替で徴収されます。
国民年金基金 (こくみんねんきんききん)
国民年金基金とは、自営業者・フリーランス等の第1号被保険者が任意加入できる公的年金の上乗せ制度です。掛金は全額社会保険料控除の対象となります。確定給付型で、加入時の年齢と口数に応じた年金額が終身受け取れます。掛金の上限は月額68,000円(iDeCoとの合算)です。
公的年金等控除 (こうてきねんきんとうこうじょ)
公的年金等控除とは、公的年金・企業年金・iDeCo等の年金収入から差し引ける控除です。65歳未満は年金収入130万円以下が全額控除(最低60万円)、65歳以上は110万円以下が全額控除(最低110万円)となります。年金収入が控除額を超えた部分が「雑所得」となり、所得税・住民税の課税対象となります。
繰り上げ受給(年金) (くりあげじゅきゅう)
年金の繰り上げ受給とは、老齢年金の受給開始を65歳より早める制度です。繰り上げた月数×0.4%(1962年4月2日以降生まれ)が年金額から減額されます。60歳から受給開始した場合は最大24%の減額となります。一度繰り上げると取り消しは原則できません。早期受給が有利かどうかは健康状態・資産状況により異なります。