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退職金の手取りはいくら残る?勤続年数別・額面別の早見表

結論
  • 額面が退職所得控除額の範囲内なら税金はゼロ。額面がそのまま手取りになる
  • 控除額は勤続20年以下で40万円×勤続年数(最低80万円)、20年超で800万円+70万円×(勤続年数−20年)
  • 控除を超えた部分は2分の1だけが課税対象。さらに他の所得と分離して課税されるため税率が上がりにくい
  • 社会保険料は引かれない。給与・賞与と決定的に違う点
  • 「退職所得の受給に関する申告書」を出さないと額面の20.42%が源泉徴収される(確定申告で精算可能)

最終更新: 2026年10月12日(国税庁 No.1420・No.2732 を確認)

「退職金は2,000万円」と言われても、手元にいくら残るのかは額面だけでは分かりません。 退職金は給与とはまったく別の計算で課税され、条件によっては1円も引かれないこともあります。 このページでは勤続年数別・額面別に手取りを一覧化し、なぜそうなるのかを分解します。

▶ 自分の勤続年数・額面で計算する(退職金の所得税計算ツール)

1. 手取りは3ステップで決まる

  1. 退職所得控除額を勤続年数から求める
  2. (額面 − 控除額)× 2分の1 = 課税退職所得
  3. 課税退職所得に所得税(分離課税・復興特別所得税込み)と住民税10%をかけ、額面から差し引く
勤続年数退職所得控除額
20年以下40万円 × 勤続年数(80万円に満たない場合は80万円)
20年超800万円 + 70万円 ×(勤続年数 − 20年)

勤続年数に1年未満の端数があるときは切り上げます(勤続10年2か月なら11年)。 障害が直接の原因で退職した場合は、上記の控除額に100万円が加算されます。

2. 勤続年数別・額面別の手取り早見表

自己都合・一般の従業員(役員以外)・他に退職金を受け取っていないケースの概算です。 金額は本サイトの共有計算ライブラリ(国税庁 No.1420/No.2732 準拠)でビルド時に算出しています。

勤続10年(退職所得控除 400万円)

額面所得税住民税税額合計手取り
500万円 25,525円 50,000円 75,525円 4,924,475円
1,000万円 206,752円 300,000円 506,752円 9,493,248円
2,000万円 1,229,284円 800,000円 2,029,284円 17,970,716円
2,500万円 1,969,509円 1,050,000円 3,019,509円 21,980,491円

勤続20年(退職所得控除 800万円)

額面所得税住民税税額合計手取り
500万円 0円 0円 0円 5,000,000円
1,000万円 51,050円 100,000円 151,050円 9,848,950円
2,000万円 788,722円 600,000円 1,388,722円 18,611,278円
2,500万円 1,346,699円 850,000円 2,196,699円 22,803,301円

勤続30年(退職所得控除 1,500万円)

額面所得税住民税税額合計手取り
500万円 0円 0円 0円 5,000,000円
1,000万円 0円 0円 0円 10,000,000円
2,000万円 155,702円 250,000円 405,702円 19,594,298円
2,500万円 584,522円 500,000円 1,084,522円 23,915,478円

勤続38年(退職所得控除 2,060万円)

額面所得税住民税税額合計手取り
500万円 0円 0円 0円 5,000,000円
1,000万円 0円 0円 0円 10,000,000円
2,000万円 0円 0円 0円 20,000,000円
2,500万円 125,072円 220,000円 345,072円 24,654,928円
上表は、役員等(会社役員のほか国家公務員・地方公務員を含む)以外の人の勤続5年超の退職、「退職所得の受給に関する申告書」提出済み、障害者になったことが直接の原因の退職ではない、同じ年に他の退職金を受け取っていない、前年以前4年内に他の退職金を受け取っていない、前年以前9年内に確定拠出年金(iDeCo・企業型DC)の一時金(2026年1月1日以後に支払われたもの)を受け取っていない、という条件での概算です。 役員等(国家公務員・地方公務員を含む)で役員等勤続年数5年以下の場合は2分の1課税が使えず、勤続5年以下の場合も扱いが変わるため、税額が大きく変わります。 障害者になったことが直接の原因で退職した場合は控除額に100万円を加えます。 確定拠出年金の一時金を後から受け取る場合は、その年の前年以前19年内に受け取った退職金との調整にも注意してください。
退職所得控除額は勤続年数で決まる(20年を境に1年あたりの増え方が変わる) 退職所得控除額は勤続年数で決まる(20年を境に1年あたりの増え方が変わる) 勤続10年 4,000,000円 勤続20年 8,000,000円 勤続30年 15,000,000円 勤続38年 20,600,000円 出典: 国税庁 No.1420 退職金を受け取ったとき
退職所得控除額は勤続年数で決まる(20年を境に1年あたりの増え方が変わる)
順位項目値
4 勤続10年 4,000,000円
3 勤続20年 8,000,000円
2 勤続30年 15,000,000円
1 勤続38年 20,600,000円

3. 控除の範囲内なら税金はゼロになる

勤続30年の退職所得控除額は800万円+70万円×10年=1,500万円です。 額面2,000万円なら、控除を超えた500万円の2分の1(250万円)だけに課税され、 税額は405,702円、手取りは19,594,298円です(額面の約2.0%)。 勤続38年なら控除額は2,060万円で、額面2,000万円はまるごと控除の範囲内なので税額は0円です。

長く勤めた人ほど控除が積み上がる設計になっており、これが「退職金は税制上有利」といわれる根拠です。 勤続年数別の控除額そのものは 退職金の所得税計算ツール でも一覧を確認できます。

4. 社会保険料は引かれない

給与や賞与からは、健康保険料・厚生年金保険料・雇用保険料などが引かれます。 健康保険料・厚生年金保険料は、毎月の給与(標準報酬月額)と賞与(標準賞与額)に保険料率をかけて計算するもので、 加入している健康保険・年齢・標準報酬の上限などで変わるため、額面の一定割合ではありません。 一方、退職時に一時金で受け取る退職金からは、健康保険料・厚生年金保険料は引かれません。 健康保険法では、臨時に受けるものは保険料のもとになる「報酬」に含まれないためです(健康保険法第3条第5項)。

受け取り方所得税住民税社会保険料
給与・賞与総合課税(累進)10%かかる
退職金(一時金)分離課税・控除後2分の110%(分離)かからない

同じ額を賞与で受け取る場合との差は ボーナス手取り計算ツール と見比べると分かりやすくなります。

5. 申告書を出し忘れると20.42%引かれる

「退職所得の受給に関する申告書」を勤務先へ提出していれば、会社が正しい税額を計算して源泉徴収するため、原則として確定申告は不要です。 提出していない場合は支払金額の20.42%が所得税等として一律で源泉徴収されます。額面1,000万円なら204万2,000円です。

この場合は、受給者本人が確定申告をして精算します(国税庁 No.1420)。退職所得控除と2分の1課税を使って計算した正しい税額との差によって、 多く引かれていれば還付、足りなければ追加の納付になります。20.42%は所得税等の話で、住民税は別に計算されます。 退職の翌年に確定申告を忘れないようにしてください。

6. 住民税は別ルートで完結する

退職金にかかる住民税は、支払い時に勤務先が差し引いて、退職金の支払を受けるべき日の属する年の1月1日に住んでいた市区町村へ納入します(地方税法第50条の2)。 他の所得と分離して課税されるため、翌年6月に届く住民税決定通知書に上乗せされることはありません。 税率は所得割のみで市町村民税6%・道府県民税4%の合計10%、均等割はかかりません。

一方で、退職して給与から天引きできなくなった通常の住民税(前年の給与所得に対する分)は別に残ります。 こちらの扱いは 退職後の住民税はどうなる? にまとめています。 退職金にかかる住民税だけを個別に計算したい場合は 退職金 住民税 計算ツール を使ってください。

7. 公務員・教員の場合

税金の計算のしかた(退職所得控除・2分の1課税・分離課税)は民間企業と同じです。 ただし国家公務員・地方公務員は税法上の「役員等」に含まれます。 役員等として勤めた期間が5年以下の人が受け取る退職手当(特定役員退職手当等)には2分の1課税がないため、 このページの早見表は使えません(国税庁 No.2737)。

額面の決まり方も違います。公務員の退職手当は「退職日の俸給月額 × 退職理由・勤続期間別の支給割合 × 調整率 + 調整額」などの法律・条例の計算式で決まります。 調整率をすでに掛けた支給率表を使うときは、調整率を重ねて掛けないでください。 まず額面を求めてから、このページの早見表で手取りを確認してください。

8. よくある質問

退職金の手取りはどうやって計算しますか?

結論:(1)勤続年数から退職所得控除額を求め、(2)額面から控除額を引いた残りの2分の1を課税退職所得とし、(3)そこに所得税(分離課税・復興特別所得税込み)と住民税10%をかけて、額面から差し引きます。控除額は勤続20年以下なら40万円×勤続年数(最低80万円)、20年超なら800万円+70万円×(勤続年数−20年)です。額面が控除額以下なら税金はゼロで、額面がそのまま手取りになります。(国税庁 No.1420)

勤続20年で退職金1,000万円のとき、手取りはいくらになりますか?

結論:退職所得控除が800万円なので、課税退職所得は(1,000万円 − 800万円)× 2分の1 = 100万円です。ここから所得税(復興特別所得税込み)が51,050円、住民税が100,000円、合計151,050円が差し引かれ、手取りは9,848,950円になります(実効税率 約1.5%)。本サイトの共有計算ライブラリで算出した概算です。

退職金から社会保険料は引かれますか?

結論:退職時に一時金で受け取る退職金からは、健康保険料・厚生年金保険料は引かれません。これらの保険料は毎月の給与(標準報酬月額)と賞与(標準賞与額)に保険料率をかけて計算するもので、臨時に受けるものは報酬に含まれないためです(健康保険法第3条第5項)。給与・賞与の保険料は、加入している健康保険・年齢・標準報酬の上限などで変わるため、額面の一定割合ではありません。退職金で引かれるのは所得税と住民税です。

「退職所得の受給に関する申告書」を出さないとどうなりますか?

結論:源泉徴収のときに退職所得控除も2分の1課税も使われず、支払金額の20.42%が所得税等として一律に源泉徴収されます。たとえば額面1,000万円なら204万2,000円です。受給者本人が確定申告をして精算し、正しい税額との差によって還付または追加の納付になります(国税庁 No.1420)。20.42%は所得税等の話で、住民税は別に計算されます。申告書は退職金の支払いを受けるときまでに勤務先へ提出します。

退職金にかかる住民税はいつ・どこに納めますか?

結論:退職金の支払い時に勤務先が差し引いて、退職金の支払を受けるべき日の属する年の1月1日に住んでいた市区町村へ納入します(地方税法第50条の2)。他の所得と分離して課税されるため、翌年の住民税決定通知書に上乗せされることはありません。税率は所得割のみで市町村民税6%・道府県民税4%の合計10%、均等割はかかりません。

公務員や教員の退職金でも手取りの計算方法は同じですか?

結論:税金の計算のしかた(退職所得控除・2分の1課税・分離課税)は民間企業と同じです。ただし国家公務員・地方公務員は税法上の「役員等」に含まれるため、役員等として勤めた期間が5年以下の人が受け取る退職手当(特定役員退職手当等)には2分の1課税がありません(国税庁 No.2737)。額面は「退職日の俸給月額 × 退職理由・勤続期間別の支給割合 × 調整率 + 調整額」などの法律・条例の計算式で決まります。調整率をすでに掛けた支給率表を使うときは、調整率を重ねて掛けないでください。額面を求めてから、このページの早見表で手取りを確認してください。

参考にした一次ソース

関連ツール

本ページの留意点
本ページの金額は国税庁 No.1420/No.2732 の計算式に基づく概算です。 役員等(国家公務員・地方公務員を含む)で役員等勤続年数5年以下の特定役員退職手当等、勤続5年以下の短期退職手当等、 障害者になったことが直接の原因の退職、 同一年または前年以前4年内に他の退職金を受け取っている場合は控除額・税額の計算が変わります。 iDeCo(確定拠出年金)の一時金を先に受け取った場合は、退職金を受け取る年の前年以前9年内(2026年1月1日以後に支払われたもの)、 退職金を先に受け取った場合は、一時金を受け取る年の前年以前19年内の受け取りとの重複期間の調整があります(国税庁 No.2732)。 正確な金額は勤務先の担当部署または税務署・税理士にご確認ください。
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