退職金の手取りはいくら残る?勤続年数別・額面別の早見表
- 額面が退職所得控除額の範囲内なら税金はゼロ。額面がそのまま手取りになる
- 控除額は勤続20年以下で40万円×勤続年数(最低80万円)、20年超で800万円+70万円×(勤続年数−20年)
- 控除を超えた部分は2分の1だけが課税対象。さらに他の所得と分離して課税されるため税率が上がりにくい
- 社会保険料は引かれない。給与・賞与と決定的に違う点
- 「退職所得の受給に関する申告書」を出さないと額面の20.42%が源泉徴収される(確定申告で精算可能)
最終更新: 2026年8月31日(国税庁 No.1420・No.2732 を確認)
「退職金は2,000万円」と言われても、手元にいくら残るのかは額面だけでは分かりません。 退職金は給与とはまったく別の計算で課税され、条件によっては1円も引かれないこともあります。 このページでは勤続年数別・額面別に手取りを一覧化し、なぜそうなるのかを分解します。
▶ 自分の勤続年数・額面で計算する(退職金の所得税計算ツール)
1. 手取りは3ステップで決まる
- 退職所得控除額を勤続年数から求める
- (額面 − 控除額)× 2分の1 = 課税退職所得
- 課税退職所得に所得税(分離課税・復興特別所得税込み)と住民税10%をかけ、額面から差し引く
| 勤続年数 | 退職所得控除額 |
|---|---|
| 20年以下 | 40万円 × 勤続年数(80万円に満たない場合は80万円) |
| 20年超 | 800万円 + 70万円 ×(勤続年数 − 20年) |
勤続年数に1年未満の端数があるときは切り上げます(勤続10年2か月なら11年)。 障害が直接の原因で退職した場合は、上記の控除額に100万円が加算されます。
2. 勤続年数別・額面別の手取り早見表
自己都合・一般の従業員(役員以外)・他に退職金を受け取っていないケースの概算です。 金額は本サイトの共有計算ライブラリ(国税庁 No.1420/No.2732 準拠)でビルド時に算出しています。
勤続10年(退職所得控除 400万円)
| 額面 | 所得税 | 住民税 | 税額合計 | 手取り |
|---|---|---|---|---|
| 500万円 | 25,525円 | 50,000円 | 75,525円 | 4,924,475円 |
| 1,000万円 | 206,752円 | 300,000円 | 506,752円 | 9,493,248円 |
| 2,000万円 | 1,229,284円 | 800,000円 | 2,029,284円 | 17,970,716円 |
| 2,500万円 | 1,969,509円 | 1,050,000円 | 3,019,509円 | 21,980,491円 |
勤続20年(退職所得控除 800万円)
| 額面 | 所得税 | 住民税 | 税額合計 | 手取り |
|---|---|---|---|---|
| 500万円 | 0円 | 0円 | 0円 | 5,000,000円 |
| 1,000万円 | 51,050円 | 100,000円 | 151,050円 | 9,848,950円 |
| 2,000万円 | 788,722円 | 600,000円 | 1,388,722円 | 18,611,278円 |
| 2,500万円 | 1,346,699円 | 850,000円 | 2,196,699円 | 22,803,301円 |
勤続30年(退職所得控除 1,500万円)
| 額面 | 所得税 | 住民税 | 税額合計 | 手取り |
|---|---|---|---|---|
| 500万円 | 0円 | 0円 | 0円 | 5,000,000円 |
| 1,000万円 | 0円 | 0円 | 0円 | 10,000,000円 |
| 2,000万円 | 155,703円 | 250,000円 | 405,703円 | 19,594,297円 |
| 2,500万円 | 584,523円 | 500,000円 | 1,084,523円 | 23,915,477円 |
勤続38年(退職所得控除 2,060万円)
| 額面 | 所得税 | 住民税 | 税額合計 | 手取り |
|---|---|---|---|---|
| 500万円 | 0円 | 0円 | 0円 | 5,000,000円 |
| 1,000万円 | 0円 | 0円 | 0円 | 10,000,000円 |
| 2,000万円 | 0円 | 0円 | 0円 | 20,000,000円 |
| 2,500万円 | 125,072円 | 220,000円 | 345,072円 | 24,654,928円 |
3. 控除の範囲内なら税金はゼロになる
早見表を見ると、勤続30年で額面2,000万円でも税額がゼロになる欄があります。 勤続30年の退職所得控除額は800万円+70万円×10年=1,500万円で、 これを超えた500万円の2分の1(250万円)に課税されるため、税額は小さく収まります。 勤続38年なら控除額は2,060万円で、額面2,000万円はまるごと控除の範囲内です。
長く勤めた人ほど控除が積み上がる設計になっており、これが「退職金は税制上有利」といわれる根拠です。 勤続年数別の控除額そのものは 退職金の所得税計算ツール でも一覧を確認できます。
4. 社会保険料は引かれない
給与や賞与では、健康保険料・厚生年金保険料・雇用保険料が額面の合計15%前後(本人負担分)引かれます。 しかし退職手当からは社会保険料が引かれません。 健康保険料・厚生年金保険料は標準報酬月額と標準賞与額をもとに計算されますが、退職手当はそのどちらにも当たらないためです。
| 受け取り方 | 所得税 | 住民税 | 社会保険料 |
|---|---|---|---|
| 給与・賞与 | 総合課税(累進) | 10% | かかる |
| 退職金(一時金) | 分離課税・控除後2分の1 | 10%(分離) | かからない |
同じ額を賞与で受け取る場合との差は ボーナス手取り計算ツール と見比べると分かりやすくなります。
5. 申告書を出し忘れると20.42%引かれる
「退職所得の受給に関する申告書」を勤務先へ提出していれば、会社が正しい税額を計算して源泉徴収するため、原則として確定申告は不要です。 提出していない場合は支払金額の20.42%が一律で源泉徴収されます。額面1,000万円なら204万2,000円です。
この場合でも、受給者本人が確定申告をすれば退職所得控除と2分の1課税が適用され、払い過ぎた分が還付されます。 退職の翌年に確定申告を忘れないようにしてください。
6. 住民税は別ルートで完結する
退職金にかかる住民税は、支払い時に勤務先が差し引いて、退職した年の1月1日に住んでいた市区町村へ納入します。 他の所得と分離して課税されるため、翌年6月に届く住民税決定通知書に上乗せされることはありません。 税率は所得割のみで市町村民税6%・道府県民税4%の合計10%、均等割はかかりません。
一方で、退職して給与から天引きできなくなった通常の住民税(前年の給与所得に対する分)は別に残ります。 こちらの扱いは 退職後の住民税はどうなる? にまとめています。 退職金にかかる住民税だけを個別に計算したい場合は 退職金 住民税 計算ツール を使ってください。
7. 公務員・教員の場合
税金の計算方法は民間企業と同じです。違うのは額面の決まり方で、 公務員の退職手当は「退職時の俸給月額 × 退職理由別支給率 × 調整率 + 調整額」という条例・法律に基づく計算式で決まります。 まず額面を求めてから、このページの早見表で手取りを確認してください。
8. よくある質問
退職金の手取りはどうやって計算しますか?
(1)勤続年数から退職所得控除額を求め、(2)額面から控除額を引いた残りの2分の1を課税退職所得とし、 (3)そこに所得税(分離課税・復興特別所得税込み)と住民税10%をかけて、額面から差し引きます。 控除額は勤続20年以下なら40万円×勤続年数(最低80万円)、20年超なら800万円+70万円×(勤続年数−20年)です。 額面が控除額以下なら税金はゼロで、額面がそのまま手取りになります。
勤続20年で退職金1,000万円のとき、手取りはいくらになりますか?
退職所得控除が800万円なので、課税退職所得は(1,000万円 − 800万円)× 2分の1 = 100万円です。 ここから所得税(復興特別所得税込み)が51,050円、住民税が100,000円、合計151,050円が差し引かれ、 手取りは9,848,950円になります(実効税率 約1.5%)。本サイトの共有計算ライブラリで算出した概算です。
退職金から社会保険料は引かれますか?
引かれません。健康保険料・厚生年金保険料は標準報酬月額と標準賞与額をもとに計算されますが、退職手当はそのどちらにも含まれないためです。 給与や賞与では額面の約15%が社会保険料として引かれるのに対し、退職金で引かれるのは所得税と住民税だけです。 これが退職金が税制上有利といわれる理由の1つです。
「退職所得の受給に関する申告書」を出さないとどうなりますか?
退職所得控除も2分の1課税も適用されず、支払金額の20.42%が一律で源泉徴収されます。たとえば額面1,000万円なら204万2,000円が差し引かれます。 ただし払い過ぎになるため、受給者本人が確定申告をすれば精算されて還付を受けられます。 申告書は退職金の支払いを受けるときまでに勤務先へ提出します。
退職金にかかる住民税はいつ・どこに納めますか?
退職金の支払い時に勤務先が差し引いて、退職した年の1月1日に住んでいた市区町村へ納入します。 他の所得と分離して課税されるため、翌年の住民税決定通知書に上乗せされることはありません。 税率は所得割のみで市町村民税6%・道府県民税4%の合計10%、均等割はかかりません。
公務員や教員の退職金でも手取りの計算方法は同じですか?
税金の計算方法は民間企業と同じです。退職所得控除・2分の1課税・分離課税の扱いに違いはありません。 違うのは額面の決まり方で、公務員の退職手当は「退職時の俸給月額 × 退職理由別支給率 × 調整率 + 調整額」という条例・法律に基づく計算式で決まります。 額面を求めてから、このページの早見表で手取りを確認してください。
参考にした一次ソース
- 国税庁 No.1420 退職金を受け取ったとき(退職所得)(退職所得控除・2分の1課税・申告書未提出時の20.42%)
- 国税庁 No.2732 退職手当等に対する源泉徴収(源泉徴収税額の計算)
- 横浜市「課税の特例」(退職所得に対する住民税の分離課税)
- 日本年金機構「標準報酬月額、賞与等」(社会保険料の算定対象)
関連ツール
- 退職金の所得税計算ツール(退職所得控除・分離課税対応) — 自分の額面で計算する
- 退職金 住民税 計算ツール — 住民税だけを確認する
- 退職金 計算ツール一覧 — 額面そのものを見積もる
- 退職金一時金・年金受取シミュレーション(無料) — 一時金と年金受取の比較
- 退職後の住民税はどうなる? — 退職金以外の住民税の扱い
本ページの金額は国税庁 No.1420/No.2732 の計算式に基づく概算です。 役員等勤続年数5年以下の特定役員退職手当等、勤続5年以下の短期退職手当等、 同一年または前年以前4年内に他の退職金を受け取っている場合は控除額・税額の計算が変わります。 iDeCo(確定拠出年金)を一時金で受け取る場合は受取順序による通算ルールの影響も受けます。 正確な金額は勤務先の担当部署または税務署・税理士にご確認ください。




