国民健康保険料 8自治体の賦課方式・料率 横断比較(令和8年度)
国保料が自治体で違う理由は「料率が高い・安い」だけではありません。 賦課方式(平等割の有無)・4区分それぞれの所得割率・賦課限度額を全数で並べ、 同じ年収・同じ世帯でどれだけ差が出るかまで一次ソースの数値で示します。
単身は「39歳以下・給与収入400万円・加入者1人」、夫婦は「ともに40〜64歳・給与収入600万円・加入者2人」。 いずれも軽減の対象外です。年額が安い順に並べています。 スマートフォンでは表を左右にスクロールできます。
| 自治体 | 賦課方式 | 平等割の合計 (世帯あたり) | 単身 年収400万円 | 夫婦2人 年収600万円 | 合計賦課限度額 | 計算ツール |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 福岡市 福岡県 | 3方式(平等割あり) | 37,164円 | 270,400円 | 576,330円 | 113万円 | 全国版で計算 |
| 東京23区 東京都 | 2方式(平等割なし) | なし | 313,587円 | 681,039円 | 113万円 | 全国版で計算 |
| 横浜市 神奈川県 | 2方式(平等割なし) | なし | 319,077円 | 699,749円 | 113万円 | 横浜市の国保を計算 |
| 京都市 京都府 | 3方式(平等割あり) | 30,140円 | 319,884円 | 661,767円 | 113万円 | 京都市の国保を計算 |
| 仙台市 宮城県 | 3方式(平等割あり) | 44,650円 | 338,509円 | 679,301円 | 113万円 | 全国版で計算 |
| 札幌市 北海道 | 3方式(平等割あり) | 51,100円 | 338,547円 | 661,047円 | 113万円 | 札幌市の国保を計算 |
| 名古屋市 愛知県 | 2方式(平等割なし) | なし | 340,149円 | 719,309円 | 113万円 | 名古屋市の国保を計算 |
| 大阪市 大阪府 | 3方式(平等割あり) | 44,753円 | 391,947円 | 784,953円 | 112万円 | 大阪市の国保を計算 |
結論:同じ単身・同じ年収で年121,547円違う
39歳以下・単身・給与収入400万円という完全に同じ条件で計算すると、 年間の国保料は福岡市の270,400円から大阪市の391,947円まで開きます。 差は年121,547円、安いほうを100とすると高いほうは約145です。 夫婦2人(ともに40〜64歳)・給与収入600万円でも 576,330円(福岡市)から784,953円(大阪市)まで年208,623円の差があります。
国が全国一律に決めているのは賦課限度額と法定軽減の判定基準額だけで、 料率そのものは各市区町村(近年は都道府県単位化が進行中)が決めます。 以下では、差がどこから生まれているのかを3つに分解します。
違いの正体①:2方式か3方式か(平等割の有無)— 単身世帯ほど効く
国保料は「所得割(所得に比例)」「均等割(加入者1人あたりの定額)」に加えて、 自治体によっては「平等割(世帯あたりの定額)」を課します。平等割まで採用する方式を3方式と呼びます。 収録8自治体では大阪市・札幌市・京都市・福岡市・仙台市が3方式、 東京23区・横浜市・名古屋市が2方式でした。
平等割は世帯単位の定額なので、加入者が1人しかいない世帯でも全額がかかります。 4区分の平等割を合計すると札幌市で51,100円にのぼり、 これは単身世帯にとって「所得がいくらであっても上乗せされる固定費」です。 単身で国保に入る人(退職直後・フリーランス・学生など)にとっては、 所得割率よりも平等割の有無のほうが体感差として大きくなることがあります。
違いの正体②:4区分それぞれの料率が違う(全数比較表)
国保料は令和8年度(2026年度)から4区分構成です(医療分・後期高齢者支援金分・介護分・子ども子育て支援金分)。 区分ごとに所得割率・均等割・平等割が別々に設定されるため、「この自治体は高い/安い」と一言で言えません。 たとえば医療分の所得割率は福岡市が5.58%ともっとも低い一方、 同市は平等割を採用しているため単身世帯の総額では順位が変わります。 以下は8自治体×4区分の全数です。
| 自治体 | 医療分 | 後期高齢者支援金分 | 介護分(40〜64歳) | 子ども・子育て支援金分 | ||||||||
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 所得割 | 均等割 | 平等割 | 所得割 | 均等割 | 平等割 | 所得割 | 均等割 | 平等割 | 所得割 | 均等割 | 平等割 | |
| 福岡市 | 5.58% | 19,807円 | 18,664円 | 3.14% | 10,441円 | 9,838円 | 2.61% | 10,160円 | 7,751円 | 0.28% | 1,039円 | 911円 |
| 東京23区 | 7.51% | 47,600円 | — | 2.80% | 17,600円 | — | 2.43% | 17,800円 | — | 0.27% | 1,873円 | — |
| 横浜市 | 8.33% | 40,870円 | — | 2.62% | 13,380円 | — | 2.84% | 16,200円 | — | 0.34% | 1,770円 | — |
| 京都市 | 7.94% | 30,080円 | 17,930円 | 2.66% | 10,360円 | 6,180円 | 2.51% | 11,090円 | 5,370円 | 0.28% | 1,170円 | 660円 |
| 仙台市 | 7.96% | 27,850円 | 26,700円 | 3.00% | 10,410円 | 9,980円 | 2.44% | 9,440円 | 7,070円 | 0.27% | 1,010円 | 900円 |
| 札幌市 | 8.61% | 20,550円 | 32,540円 | 2.56% | 6,330円 | 10,010円 | 2.33% | 6,020円 | 7,550円 | 0.29% | 1,100円 | 1,000円 |
| 名古屋市 | 8.83% | 50,591円 | — | 2.58% | 15,784円 | — | 2.34% | 16,120円 | — | 0.26% | 1,863円 | — |
| 大阪市 | 9.50% | 34,990円 | 33,908円 | 3.06% | 11,191円 | 10,845円 | 2.60% | 18,682円 | — | 0.28% | 1,841円 | — |
※ 子ども・子育て支援金分の均等割は「18歳以上の加入者1人あたりの実効額」です(18歳未満は全額減額のため0円)。
※ 介護分は40〜64歳(介護保険第2号被保険者)がいる世帯にのみかかります。
違いの正体③:賦課限度額は原則同じだが、大阪市だけ医療分が低い
賦課限度額(保険料の頭打ち)は国が定めるため、収録8自治体でもほぼ共通です。 後期高齢者支援金分は26万円、介護分は17万円、 子ども・子育て支援金分は3万円で、8自治体すべて同額でした。
唯一違うのが大阪市で、 医療分の限度額が66万円(他は67万円)のため、 合計は112万円になります(他は113万円)。 これは大阪府内統一保険料率の設定によるものです。高所得で限度額に達する世帯では、 料率の差ではなくこの限度額の差がそのまま年10,000円の違いになります。
自治体差が「ない」部分:軽減の判定基準額は政令で全国一律
国保の記事では「軽減の基準は自治体によって違うので窓口へ」と書かれることがありますが、これは正確ではありません。 法定軽減(7割・5割・2割)の判定基準額は国民健康保険法施行令 第29条の7第6項第3号で全国一律に定められており、 自治体が独自に決めるものではありません(国民健康保険「税」方式の市町村は地方税法施行令 第56条の89で同額)。
| 軽減割合 | 世帯の総所得金額等(令和8年度(2026年度)・全国一律) |
|---|---|
| 7割軽減 | 43万円+10万円×(給与所得者等の数−1)以下 |
| 5割軽減 | 上記+31万円×(加入者数+特定同一世帯所属者数)以下 |
| 2割軽減 | 上記+57万円×(加入者数+特定同一世帯所属者数)以下 |
国民健康保険法施行令 第29条の7第6項(保険料の減額賦課の基準)/ e-Gov法令検索・令和8年政令第2号による改正後の現行条文
※ 基準額は全国一律ですが、次の場合は本サイトの簡易判定とずれます。実際に軽減が適用されるかは市区町村の窓口でご確認ください。
- 判定に使う所得は「総所得金額等」で、基礎控除を差し引く前の金額です。専従者給与や譲渡所得の特別控除については確定申告と異なる扱いをします(国民健康保険法施行令 第29条の7第6項第2号)。
- 65歳以上で公的年金等の所得がある方は、判定所得から公的年金等に係る所得の15万円を差し引いて判定します(同令 附則第5条)。本ツールはこの控除を自動では行いません。
- 後期高齢者医療制度へ移行した方が同じ世帯に残っている場合(特定同一世帯所属者)は、その人数も5割・2割軽減の判定人数に加算されます。
- 減額を行うことが困難と認める市町村では、7割・5割に代えて6割・4割の減額を行う場合があります(同令 第29条の7第6項第4号・第5号)。
- 産前産後期間の保険料免除など、法定軽減とは別枠の減免制度があります。自治体独自の上乗せ軽減・減免(申請制)が設けられている場合もあります。
賦課の基準は住民税ベース — 所得税の課税所得ではない
所得割の計算に使うのは基準総所得金額=総所得金額等 −43万円です。 この43万円は住民税の基礎控除額であって、所得税の基礎控除とは金額が違います。 さらに、扶養控除・生命保険料控除・社会保険料控除といった所得控除は国保料の計算では差し引きません。 確定申告書の「課税される所得金額」をそのまま当てはめると、保険料を実際より低く見積もることになります。
つまり国保料は住民税と同じ所得の土台の上に乗っています。 住民税の自治体差そのものは 全国29市区 住民税 均等割・所得割 横断比較で確認できます。 ただし住民税の税率が違っても国保料の賦課基準(所得金額)は変わりません。 国保料に効くのは所得の額であって、住民税の税額ではないためです。
出典一覧(8自治体・公式ページのURLと確認日)
本ページの料率はすべて下表の自治体公式ページから確認したもので、他サイトの比較表・解説記事は1件も使っていません。 推計値・前年度からの据え置き値は1件も含みません。
| 自治体 | 年度 | 確認した公式ページ | 確認日 |
|---|---|---|---|
| 福岡市 | 令和8年度(2026年度) | 福岡市「国民健康保険料の計算方法(令和8年度)」 | 2026-08-26 |
| 東京23区 | 令和8年度(2026年度) | 港区「国民健康保険の保険料(令和8年度)」 | 2026-08-26 |
| 横浜市 | 令和8年度(2026年度) | 横浜市「令和8年度の国民健康保険料率」 | 2026-08-26 |
| 京都市 | 令和8年度(2026年度) | 京都市「令和8年度 国民健康保険料の料率」 | 2026-08-26 |
| 仙台市 | 令和8年度(2026年度) | 仙台市「保険料はいくら(令和8年度)」 | 2026-08-26 |
| 札幌市 | 令和8年度(2026年度) | 札幌市「国民健康保険料の賦課(令和8年度料率)」 | 2026-08-26 |
| 名古屋市 | 令和8年度(2026年度) | 名古屋市「令和8年度分の国民健康保険料」 | 2026-08-26 |
| 大阪市 | 令和8年度(2026年度) | 大阪市「令和8年度大阪市国民健康保険料のお知らせ」 大阪市「保険料の決め方」(賦課方式・算定基礎所得金額の定義) | 2026-08-26 |
※ 東京23区は特別区の統一保険料方式のため23区とも同一料率です(港区公式ページを一次ソースとして確認)。
※ 専用の計算ツールがあるのは横浜市・大阪市・名古屋市・札幌市・京都市です。他の自治体は全国版シミュレーターで計算できます。
関連する横断比較・計算ツール
本ページの年間保険料は、給与収入のみ・軽減の対象外という条件で算出した概算です。 実際の保険料は世帯の所得内訳・加入者の年齢構成・軽減や減免の適用により異なります。 正確な保険料はお住まいの市区町村の国民健康保険担当窓口にご確認ください。
よくある質問
- 国民健康保険料は自治体でどれくらい違いますか?
- 結論:同じ単身・給与収入400万円・39歳以下という条件で比べると、年間保険料は270,400円(福岡市)から391,947円(大阪市)まで開きます。差は年121,547円で、安い自治体を100とすると高い自治体は約145です。国が全国一律に決めているのは賦課限度額と法定軽減の判定基準額だけで、料率は各市区町村が設定します。
- 平等割がある自治体とない自治体では何が変わりますか?
- 結論:平等割は世帯あたりの定額なので、加入者が少ない世帯ほど1人あたりの負担が重くなります。収録8自治体のうち5自治体が平等割を採用しており(3方式)、東京23区・横浜市・名古屋市の3自治体は採用していません(2方式)。平等割の合計がもっとも大きいのは札幌市の51,100円で、単身世帯でもこの全額がかかります。
- 国保料の軽減(7割・5割・2割)の基準も自治体で違いますか?
- 結論:違いません。法定軽減の判定基準額は国民健康保険法施行令 第29条の7第6項第3号で全国一律に定められており、令和8年度(2026年度)は基礎額43万円、5割軽減が1人あたり31万円加算、2割軽減が1人あたり57万円加算です。自治体が決めるのは料率であって、軽減の判定基準額ではありません。
- 国保料の計算に使う所得は所得税の課税所得と同じですか?
- 結論:違います。国保料の所得割は「総所得金額等から43万円を差し引いた基準総所得金額」で計算します。この43万円は住民税の基礎控除額であり、所得税の基礎控除とは金額が異なります。また扶養控除・生命保険料控除・社会保険料控除などの所得控除は国保料の計算では差し引きません。所得税の課税所得をそのまま使うと保険料を過小に見積もることになります。
- 大阪市の賦課限度額だけ他の政令市と違うのはなぜですか?
- 結論:大阪市は大阪府内統一保険料率を採用しており、医療分の賦課限度額が66万円に設定されているためです。他の収録自治体は医療分67万円で、合計賦課限度額は113万円ですが、大阪市だけ合計112万円になります。後期高齢者支援金分・介護分・子ども子育て支援金分の限度額は収録8自治体すべてで同額です。


