公務員 退職金の計算方法|支給率・調整率・退職所得控除を完全解説
国家公務員退職手当法の計算式から退職理由別支給率、調整率の仕組み、税金計算まで一気に解説します。
公務員の退職手当 基本計算式
国家公務員の退職手当は国家公務員退職手当法(昭和28年法律第182号)に基づいて計算されます。
② 退職手当 = 基本額 + 調整額
各要素の説明
退職時の俸給月額とは
退職する日に受けていた俸給の月額です。扶養手当・通勤手当・残業代などの各種手当は含まれません。職種(一般職・特定職)・級・号俸によって決まります。
退職理由別支給率とは
退職の理由によって支給率(俸給月額の何ヶ月分か)が決まります。定年退職は同じ勤続年数の自己都合退職より高くなります。ただし整理退職や公務上の傷病・死亡による退職は、勤続25年未満では定年退職より高くなる場合があります。
| 退職理由 | 概要 | 支給率の水準 |
|---|---|---|
| 定年退職 | 定年に達して退職 | 勤続35年以上で上限47.709ヶ月分 |
| 応募認定退職(1号) | 任命権者の募集に応募し、認定を受けて退職した場合(勧奨退職とは別の制度) | 早見表では定年と同じ列(+定年前早期退職特例措置で俸給月額が割増) |
| 自己都合退職 | 本人の申出による退職 | 勤続35年で39.7575ヶ月分(同じ勤続年数の定年より16.7%低い) |
| 整理退職・公務上の傷病死亡 | 廃職・過員による免職や公務上の死亡等 | 勤続25年未満では定年の列より高い |
調整率とは
調整率は、退職手当の基本額に乗じる係数で、国家公務員退職手当法の附則に「当分の間」百分の八十三・七と定められています。平成30年(2018年)1月1日以降の退職では83.7/100です(平成30年改正前は87/100でした)。内閣人事局が公表している支給率早見表は、この調整率を乗じた後の率なので、早見表の支給率にさらに調整率を掛けると二重に減ってしまいます。
調整額とは
調整額は、基礎在職期間の各月に属していた職員区分ごとの調整月額のうち、額が多い月から順に原則60月分を合計した金額です(同法6条の4)。不支給や半額になる場合の条件もあるため、金額は所属機関の担当部署で確認してください。
STEP別 計算手順
退職時の俸給月額(本俸のみ・手当除く)を確認します。給与明細の「俸給」欄を参照してください。
国家公務員は内閣人事局が公表する支給率早見表(退職理由×勤続年数)から該当する支給率を確認します。地方公務員は所属自治体の条例です。
俸給月額 × 支給率(調整率83.7/100を反映済みの率)を計算します。調整率を重ねて掛けません。俸給月額が減額改定以外の理由で下がったことがある場合は、基本額の特例(同法5条の2)を確認します。
勤続年数20年以下:40万円×年数(最低80万円)、20年超:800万円+70万円×(年数-20)。税の計算の勤続年数は1年未満の端数を1年に切り上げます。障害者になったことが直接の原因で退職した場合は100万円が加算され、同じ年に複数の退職金を受け取る場合などは控除額の計算が変わります。
一般の退職手当は (退職手当 - 控除額) × 1/2 = 課税退職所得(1,000円未満切り捨て)。公務員としての勤続が5年以下の特定役員退職手当等は1/2にしません。所得税は速算表で出し、復興特別所得税(×102.1%)を加えます。住民税は市町村民税と道府県民税を別々に計算し(標準税率は6%と4%)、それぞれ100円未満を切り捨てます。
退職所得控除額の目安
勤続年数が整数で、一般の退職手当(1/2の計算を使えるもの)を受け取り、「退職所得の受給に関する申告書」を提出し、ほかの退職金との控除の重複がない場合の例です。退職金は2,000万円とします。
| 勤続年数 | 退職所得控除額 | 課税退職所得(1/2後) |
|---|---|---|
| 15年 | 600万円 | 700万円 |
| 20年 | 800万円 | 600万円 |
| 25年 | 1,150万円 | 425万円 |
| 35年 | 1,850万円 | 75万円 |
| 40年 | 2,200万円 | 0円(課税なし) |
勤続35年・退職金2,000万円の場合、課税退職所得は75万円です。税額は、所得税等(復興特別所得税を含む)が38,287円、住民税が75,000円(標準税率の市町村民税6%+道府県民税4%)で、合計113,287円です。「ほぼ非課税」ではなく、少額の税がかかります。公務員としての勤続が5年以下の特定役員退職手当等では、1/2の計算がないため課税退職所得が大きく変わります。
地方公務員と国家公務員の違い
地方公務員の退職手当は各自治体の条例で定められます。このページの支給率は国家公務員の早見表で、地方公務員には所属自治体の条例の支給率・調整額が適用されます。主な違いが出る点は以下のとおりです。
- 支給率:自治体の条例で定められるため、国と異なる場合がある
- 調整額:自治体の条例で職種・役職別の金額が定められる
- 早期退職制度:自治体ごとに独自の勧奨退職・早期退職募集を設けている場合がある
よくある質問
公務員の退職金計算方法は?
「俸給月額 × 退職理由別・勤続期間別支給率 + 調整額」が基本式です(俸給月額が減額改定以外の理由で下がったことがある場合は、基本額の特例があります)。公表されている支給率には調整(83.7/100)がすでに含まれているため、さらに調整率を掛けません。定年退職は勤続35年以上で上限の47.709ヶ月分、自己都合は勤続35年で39.7575ヶ月分です。
公務員退職金の「調整率」とは何ですか?
調整率は、退職手当の基本額に乗じる係数で、国家公務員退職手当法の附則で「当分の間」百分の八十三・七と定められています。平成30年(2018年)1月1日以降の退職では83.7/100です。ただし内閣人事局が公表している支給率早見表は「調整率を乗じた後」の率なので、早見表の支給率を使うときに調整率を重ねて掛けてはいけません(平成30年改正前は87/100で、上限は49.59ヶ月でした)。
退職所得控除の計算方法は?
勤続20年以下は「40万円×年数」(最低80万円)、20年超は「800万円+70万円×(年数-20)」です。税の計算の勤続年数は1年未満の端数を1年に切り上げます。一般の退職手当では、控除後の金額の1/2が課税退職所得です。公務員としての勤続が5年以下の特定役員退職手当等には1/2の計算がなく、控除後の全額が退職所得になります。
地方公務員と国家公務員の退職金の違いは?
地方公務員は各自治体の条例によります。支給率・調整額は自治体によって異なる場合があるため、所属自治体の条例と給与担当部署の案内で確認してください。
関連ツール
本ページは一般的な情報提供を目的としています。実際の退職手当は国家公務員退職手当法・各自治体条例に基づいて計算されます。正確な金額は所属機関の人事・給与担当部署にご確認ください。
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このページで扱わないこと
- 国家公務員以外の支給率(地方公務員は所属自治体の条例)、45年を超える勤続や、早見表にない退職理由の個別の取り扱い
- 調整額の具体的な金額、俸給月額が減額改定以外の理由で下がった場合の基本額の特例、定年前早期退職特例措置の割増の細かい計算
- 障害者になったことが直接の原因の退職(控除100万円加算)、同じ年に複数の退職金を受け取る場合や過去の退職金との控除の重複、特定役員退職手当等・短期退職手当等の税の細かい計算
- 確定申告・年末調整、退職所得の受給に関する申告書を出さない場合(20.42%源泉徴収)