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住民税決定通知書の見方|金額の根拠と所得税との控除差を読み解く

結論
  • 通知書は「所得」「所得控除」「課税標準」「税額」の4ブロックで読む。上から順に金額が絞り込まれていく
  • 税額は所得割(課税所得×10%)+均等割(標準4,000円)+森林環境税1,000円。政令指定都市は所得割の内訳が市8%・道府県2%になる
  • 森林環境税1,000円は国税で、住民税の均等割とは別行で徴収される(均等割に含まれない)
  • 所得税と控除額が違うのは別々の法律だから。個人住民税の基礎控除は43万円のまま据置(合計所得2,400万円以下の区分)、所得税(令和8年分)は104万円(合計所得489万円以下の区分)
  • 調整控除は、所得税との人的控除額の差(基礎控除では5万円)に基づく負担増を調整する税額控除。基礎控除の104万円と43万円の実際の差額を補う制度ではない

最終更新: 2026年10月11日(総務省・国税庁・横浜市・八王子市の公表資料を確認)

6月に届く「市民税・県民税・森林環境税 特別徴収税額の決定通知書」は、細かい数字が並んでいて何を見ればいいのか分かりにくい紙です。 しかし読む順番は決まっていて、上から4つのブロックを順にたどるだけで自分の税額がどう決まったかを追えます。 検索でよく見かける「基礎控除43万円」「所得割の税率10%」といった数字が、通知書のどこに現れるのかもあわせて確認します。

▶ 年収を入れて住民税額を検算する(住民税 計算ツール)

このページで扱わないこと

1. 通知書はいつ・どの経路で届くか

徴収方法対象届く時期・経路納め方
特別徴収(給与から) 会社員・公務員など給与所得者 5月中旬〜6月上旬に勤務先から手渡し(電子データの場合もある) 6月から翌年5月までの12回、給与から天引き
普通徴収 自営業・退職者など。年金受給者のうち年金からの特別徴収の対象でない部分 6月に市区町村から本人あてに郵送 自治体の納期による通常4回(横浜市は6月・8月・10月・翌年1月)または一括
特別徴収(年金から) 老齢基礎年金等を受給している65歳以上で、納税義務がある人(年金額などの条件あり) 通知書は市区町村から郵送 年金の支給のたびに天引き(特別徴収の開始1年目は10月からで、年金分の税額の2分の1相当を年金から、残りは普通徴収)

出典: 横浜市「納税の方法」。年金から特別徴収されない人(老齢基礎年金等が年間18万円未満など)や、障害年金・遺族年金のみの人は、普通徴収になります。

いずれの通知書も、前年1月1日から12月31日までの所得に対する税額です。 今年の6月に届いた通知書は「去年の所得」の請求であり、今年の収入は反映されていません。 退職・育休などで今年の収入が大きく変わっている場合は、この時差が違和感の原因です。

2. 通知書は4つのブロックでできている

様式は自治体ごとに少しずつ違いますが、載っている情報の並びは共通です。上から順に絞り込まれていきます。

ブロック主な欄何が書いてあるか
① 所得 給与収入/給与所得、その他の所得 源泉徴収票の「支払金額」が給与収入。そこから給与所得控除を引いた額が給与所得
② 所得控除 社会保険料/生命保険料/扶養/基礎控除 など 所得から差し引く控除の一覧。基礎控除の欄に43万円と書かれているのはここ
③ 課税標準 総所得金額、課税総所得金額 ①−②。税率をかける対象になる金額(1,000円未満切捨)
④ 税額 所得割額/均等割額/税額控除/森林環境税/年税額 ③×税率から調整控除・寄附金税額控除などを差し引いた所得割に、均等割と森林環境税を足した最終額

3. 所得割は「課税所得×10%」。政令市は内訳が違う

所得割の標準税率は合計10%です(総務省「個人住民税」)。ただし内訳は住んでいる自治体の種類で変わります。

区分市町村民税(市民税・区民税)道府県民税(県民税・都民税・府民税)合計
一般の市町村・特別区6%4%10%
政令指定都市(横浜市・大阪市・名古屋市・札幌市・仙台市など)8%2%10%

政令指定都市は道府県から教職員の給与負担などの事務が移されているため、税源も市側へ移されています。 合計10%は変わらないので負担が重くなるわけではありませんが、通知書の市民税欄と県民税欄の比率が他都市と違って見える理由になります。 横浜市の計算例(令和8年度)では、課税標準額2,437,000円に市民税8%をかけた調整控除前の算出額が194,960円、 調整控除(市民税2,000円)を引いて100円未満を切り捨てた控除後の市民税所得割額が192,900円と公表されています。

4. 均等割と森林環境税は別の行に分かれている

均等割は所得の大小に関係なく定額でかかる部分です。標準額は4,000円(総務省「個人住民税」)で、 通知書にはこれと別に森林環境税1,000円(国税)が載ります。

項目標準額性質
市町村民税 均等割3,000円地方税
道府県民税 均等割1,000円地方税
均等割の合計4,000円—
森林環境税1,000円国税(市区町村が住民税の均等割とあわせて徴収。均等割には含まれない)
定額部分の合計5,000円均等割4,000円+森林環境税1,000円

これに自治体独自の上乗せが加わることがあります。たとえば横浜市の令和8年度の計算例では、均等割が市民税3,900円+県民税1,300円=5,200円となり、 森林環境税1,000円を加えた6,200円が定額部分です(横浜みどり税・神奈川県の水源環境保全税による上乗せ)。 同じ年収でも自治体によって年税額が数百円〜千円ほどずれるのは、この上乗せが理由です。

自分の市区町村の均等割額を含めた税額は、住民税 計算ツールおよび各市の個別ページ (横浜市/大阪市/仙台市ほか)で確認できます。

5. 所得税と住民税で控除額が違うのはなぜか

「所得税の基礎控除は引き上げられたのに、通知書の基礎控除は43万円のまま」という違和感は、制度上そのとおりです。 所得税は所得税法、個人住民税は地方税法という別の法律で定められており、改正も別々に行われます。

項目 所得税(令和7年分) 所得税(令和8年分・現行) 個人住民税(令和8年度=令和7年分所得)
基礎控除 95万円(合計所得132万円以下) 104万円(合計所得489万円以下の区分。これを超えると段階的に下がる) 43万円(合計所得2,400万円以下の区分。改正なし・据置。2,400万円超2,450万円以下は29万円、2,450万円超2,500万円以下は15万円、2,500万円超は0円)
給与所得控除の最低保障額 65万円 74万円 65万円(55万円から引上げ)
税が発生しない給与収入の目安 160万円 178万円 均等割の非課税限度額が先に効くため別基準
扶養親族等の合計所得要件 58万円 62万円 58万円(48万円から引上げ)

出典: 横浜市「所得控除(令和8年度課税以降)」(住民税の基礎控除)、国税庁「源泉所得税の改正のあらまし(令和8年4月)」(所得税の基礎控除489万円以下の区分)。

令和8年度の個人住民税でも改正はありました。給与所得控除の最低保障額が55万円から65万円へ、 扶養親族等の所得要件が48万円から58万円へ引き上げられ、大学生年代の子等に関する特別控除(特定親族特別控除)も新設されています。 引き上げられなかったのは基礎控除だけです。

住民税がいくらから発生するかの基準は 住民税 計算ツール の「住民税非課税の基準」で、年収の壁の全体像は 年収の壁シミュレーター で確認できます。

6. 「調整控除」は何を調整するか

調整控除は、平成19年の税源移譲(所得税から住民税へ税源を移した改正)で、所得税と住民税の人的控除額の差に基づく負担増が出ないよう、 住民税の所得割額から差し引く税額控除です(横浜市「税額控除」)。 計算に使うのは、制度で定める「人的控除額の差の合計額」です。基礎控除の差は、実際の差額(令和8年分は104万円と43万円の差)ではなく 5万円で計算します。横浜市は「基礎控除の所得税との人的控除額の差額は旧制度が適用されるため、実際の所得税との人的控除額の差額と一致しません」としています。 つまり、所得税と住民税の基礎控除の実際の差額を補う制度ではありません。

合計課税所得金額調整控除の計算
200万円以下 「人的控除額の差の合計額」と「合計課税所得金額」のいずれか小さい額の5%
200万円超 「人的控除額の差の合計額」から「合計課税所得金額−200万円」を差し引いた額(5万円を下回る場合は5万円)の5%

この5%は、一般の市区町村では市区町村民税3%・都道府県民税2%、政令指定都市では市民税4%・県民税1%に分かれます (八王子市・横浜市「税額控除」)。合計所得金額が2,500万円を超える人には調整控除は適用されません。 通知書の税額控除欄に数千円の「調整控除」が載っているのはこの計算の結果です。たとえば横浜市の計算例では、人的控除の差の合計が15万円・課税標準額が243.7万円で、 ア−イが5万円を下回るため5万円とし、市民税分2,000円(5万円×4%)・県民税分500円(5万円×1%)が控除されています。

7. 金額が想定と違うときのチェック順

  1. 給与収入額が源泉徴収票の「支払金額」と一致しているか(副業・前職の分が漏れていないか)
  2. 所得控除に社会保険料控除・生命保険料控除・iDeCo(小規模企業共済等掛金控除)がすべて載っているか
  3. 扶養親族の人数が正しいか(年末調整後に扶養が増減していないか)
  4. 寄附金税額控除の欄にふるさと納税の分が反映されているか(ワンストップ特例の申請漏れが典型)
  5. 住宅借入金等特別税額控除の欄に、所得税から引ききれなかった住宅ローン控除が回っているか

誤りが見つかった場合は、市区町村の税務担当窓口へ申し出て課税内容の訂正を求めます。 ふるさと納税の控除漏れは、ふるさと納税 確定申告シミュレーター で本来の控除額を試算してから相談すると話が早く進みます。

8. よくある質問

住民税決定通知書はいつ届きますか?

会社員(特別徴収)は5月中旬から6月上旬に勤務先経由で受け取ります。自営業・退職者など普通徴収の方は6月に市区町村から直接郵送されます。どちらも前年1月〜12月の所得に対する税額です。納め方は異なり、給与から天引きされる特別徴収は6月から翌年5月までの12回、普通徴収は自治体の納期による通常4回(横浜市は6月・8月・10月・翌年1月)です。

通知書の「所得割」と「均等割」は何が違いますか?

所得割は課税所得に比例する部分(標準税率10%)、均等割は所得の大小にかかわらず定額でかかる部分です。均等割の標準額は市町村民税3,000円+道府県民税1,000円=4,000円で、自治体独自の上乗せがある場合はここに加算されます。通知書にはこれとは別に森林環境税1,000円(国税)が載ります。所得割はゼロでも均等割だけ課される「均等割のみ課税」の世帯もあります。

森林環境税1,000円は住民税とは別の税金ですか?

別の税金です。森林環境税は国税で、市区町村が個人住民税の均等割とあわせて年額1,000円を徴収しています。通知書では住民税の均等割とは行を分けて表示されるのが一般的です。徴収された税収は森林環境譲与税として都道府県・市町村へ配分されます。(総務省「森林環境税及び森林環境譲与税」)

所得税の基礎控除と住民税の基礎控除で金額が違うのはなぜですか?

両者は別の法律(所得税法と地方税法)で定められており、改正も別々に行われるためです。令和8年分の所得税の基礎控除は合計所得489万円以下の区分で104万円まで引き上げられましたが、個人住民税の基礎控除は合計所得2,400万円以下で43万円のまま据え置かれています(2,400万円超は29万円・15万円・0円と下がります)。調整控除は、この差額そのものを補う制度ではなく、所得税との人的控除額の差(基礎控除では5万円)に基づく負担増を調整する税額控除です。

調整控除とは何ですか?

平成19年の税源移譲で、所得税と住民税の人的控除額の差による負担増が出ないよう、住民税の所得割額から差し引かれる税額控除です。合計課税所得金額が200万円以下か200万円超かで計算式が変わり、人的控除額の差の合計額などをもとに算出した金額の5%が控除されます。この5%の内訳は、一般の市区町村は市区町村民税3%・都道府県民税2%、政令指定都市は市民税4%・県民税1%です。合計所得金額が2,500万円を超える人には適用されません。

通知書の税額が思っていた金額と違うときは何を確認すればいいですか?

(1)給与収入額が源泉徴収票の支払金額と一致しているか、(2)社会保険料控除・生命保険料控除など所得控除がすべて反映されているか、(3)扶養親族の人数が正しいか、(4)ふるさと納税の寄附金税額控除が載っているか、(5)住宅ローン控除が所得税で引ききれず住民税に回った分が反映されているか、の順で確認します。誤りがあれば市区町村の税務担当窓口へ申し出て課税内容の訂正を求めます。

参考にした一次ソース

関連ツール

本ページの留意点
通知書の様式・欄の名称・均等割の額は市区町村によって異なります。 本ページは総務省・国税庁・横浜市・八王子市の公表内容に基づく一般的な解説であり、個別の課税内容の判断ではありません。 記載内容と手元の通知書が食い違う場合は、お住まいの市区町村の税務担当窓口へお問い合わせください。