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住民税決定通知書の見方|金額の根拠と所得税との控除差を読み解く

結論
  • 通知書は「所得」「所得控除」「課税標準」「税額」の4ブロックで読む。上から順に金額が絞り込まれていく
  • 税額は所得割(課税所得×10%)+均等割(標準5,000円)。政令指定都市は内訳が市8%・道府県2%になる
  • 森林環境税1,000円は国税で、住民税の均等割とは別行で徴収される
  • 所得税と控除額が違うのは別々の法律だから。個人住民税の基礎控除は43万円のまま据置、所得税(令和8年分)は104万円
  • この控除差による負担増は調整控除という税額控除で埋められている

最終更新: 2026年8月31日(総務省・国税庁・横浜市の公表資料を確認)

6月に届く「市民税・県民税・森林環境税 特別徴収税額の決定通知書」は、細かい数字が並んでいて何を見ればいいのか分かりにくい紙です。 しかし読む順番は決まっていて、上から4つのブロックを順にたどるだけで自分の税額がどう決まったかを追えます。 検索でよく見かける「基礎控除43万円」「所得割の税率10%」といった数字が、通知書のどこに現れるのかもあわせて確認します。

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1. 通知書はいつ・どの経路で届くか

徴収方法対象届く時期・経路納め方
特別徴収 会社員・公務員など給与所得者 5月中旬〜6月上旬に勤務先から手渡し(電子データの場合もある) 6月から翌年5月までの12回、給与から天引き
普通徴収 自営業・退職者・年金受給者など 6月に市区町村から本人あてに郵送 年4回(6月・8月・10月・翌年1月が多い)または一括

いずれの通知書も、前年1月1日から12月31日までの所得に対する税額です。 今年の6月に届いた通知書は「去年の所得」の請求であり、今年の収入は反映されていません。 退職・育休などで今年の収入が大きく変わっている場合は、この時差が違和感の原因です。

2. 通知書は4つのブロックでできている

様式は自治体ごとに少しずつ違いますが、載っている情報の並びは共通です。上から順に絞り込まれていきます。

ブロック主な欄何が書いてあるか
① 所得 給与収入/給与所得、その他の所得 源泉徴収票の「支払金額」が給与収入。そこから給与所得控除を引いた額が給与所得
② 所得控除 社会保険料/生命保険料/扶養/基礎控除 など 所得から差し引く控除の一覧。基礎控除の欄に43万円と書かれているのはここ
③ 課税標準 総所得金額、課税総所得金額 ①−②。税率をかける対象になる金額(1,000円未満切捨)
④ 税額 所得割額/均等割額/税額控除/森林環境税/年税額 ③×税率から調整控除・寄附金税額控除などを差し引き、均等割と森林環境税を足した最終額

3. 所得割は「課税所得×10%」。政令市は内訳が違う

所得割の標準税率は合計10%です。ただし内訳は住んでいる自治体の種類で変わります。

区分市町村民税(市民税・区民税)道府県民税(県民税・都民税・府民税)合計
一般の市町村・特別区6%4%10%
政令指定都市(横浜市・大阪市・名古屋市・札幌市・仙台市など)8%2%10%

政令指定都市は道府県から教職員の給与負担などの事務が移されているため、税源も市側へ移されています。 合計10%は変わらないので負担が重くなるわけではありませんが、通知書の市民税欄と県民税欄の比率が他都市と違って見える理由になります。 横浜市の計算例でも、課税所得2,437,000円に対して市民税8%で194,960円という計算が公表されています。

4. 均等割と森林環境税は別の行に分かれている

均等割は所得の大小に関係なく定額でかかる部分です。標準額は次の内訳です。

項目標準額性質
市町村民税 均等割3,000円地方税
道府県民税 均等割1,000円地方税
森林環境税1,000円国税(市区町村が住民税とあわせて徴収)
合計5,000円

これに自治体独自の上乗せが加わることがあります。たとえば横浜市の通知書では均等割が市民税3,900円+県民税1,300円=5,200円となり、 森林環境税1,000円を加えた6,200円が定額部分です(横浜みどり税・神奈川県の水源環境保全税による上乗せ)。 同じ年収でも自治体によって年税額が数百円〜千円ほどずれるのは、この上乗せが理由です。

自分の市区町村の均等割額を含めた税額は、住民税 計算ツールおよび各市の個別ページ (横浜市大阪市仙台市ほか)で確認できます。

5. 所得税と住民税で控除額が違うのはなぜか

「所得税の基礎控除は引き上げられたのに、通知書の基礎控除は43万円のまま」という違和感は、制度上そのとおりです。 所得税は所得税法、個人住民税は地方税法という別の法律で定められており、改正も別々に行われます。

項目 所得税(令和7年分) 所得税(令和8年分・現行) 個人住民税(令和8年度=令和7年分所得)
基礎控除 95万円(合計所得132万円以下) 104万円(合計所得489万円以下) 43万円(改正なし・据置)
給与所得控除の最低保障額 65万円 74万円 65万円(55万円から引上げ)
税が発生しない給与収入の目安 160万円 178万円 均等割の非課税限度額が先に効くため別基準
扶養親族等の合計所得要件 58万円 62万円 58万円(48万円から引上げ)

令和8年度の個人住民税でも改正はありました。給与所得控除の最低保障額が55万円から65万円へ、 扶養親族等の所得要件が48万円から58万円へ引き上げられ、大学生年代の子等に関する特別控除(特定親族特別控除)も新設されています。 引き上げられなかったのは基礎控除だけです。

住民税がいくらから発生するかの基準は 住民税 計算ツール の「住民税非課税の基準」で、年収の壁の全体像は 年収の壁シミュレーター で確認できます。

6. 控除差を埋めているのが「調整控除」

基礎控除だけを見ると住民税のほうが控除が小さく、その分だけ課税所得が大きくなります。 これをそのままにすると、平成19年の税源移譲(所得税から住民税へ税源を移した改正)で本来より負担が増えてしまうため、 住民税の所得割額から差し引く調整控除が設けられています。

合計課税所得金額調整控除の計算
200万円以下 「人的控除額の差の合計額」と「合計課税所得金額」のいずれか小さい額の5%(市町村民税4%・道府県民税1%)
200万円超 「人的控除額の差の合計額」から「合計課税所得金額−200万円」を差し引いた額(5万円を下回る場合は5万円)の5%(市町村民税4%・道府県民税1%)

基礎控除に関する人的控除額の差は5万円で固定されています。 通知書の税額控除欄に数千円の「調整控除」が載っているのはこの計算の結果です。

7. 金額が想定と違うときのチェック順

  1. 給与収入額が源泉徴収票の「支払金額」と一致しているか(副業・前職の分が漏れていないか)
  2. 所得控除に社会保険料控除・生命保険料控除・iDeCo(小規模企業共済等掛金控除)がすべて載っているか
  3. 扶養親族の人数が正しいか(年末調整後に扶養が増減していないか)
  4. 寄附金税額控除の欄にふるさと納税の分が反映されているか(ワンストップ特例の申請漏れが典型)
  5. 住宅借入金等特別税額控除の欄に、所得税から引ききれなかった住宅ローン控除が回っているか

誤りが見つかった場合は、市区町村の税務担当窓口へ申し出て課税内容の訂正を求めます。 ふるさと納税の控除漏れは、ふるさと納税 確定申告シミュレーター で本来の控除額を試算してから相談すると話が早く進みます。

8. よくある質問

住民税決定通知書はいつ届きますか?

会社員(特別徴収)は5月中旬から6月上旬に勤務先経由で受け取ります。自営業・退職者など普通徴収の方は6月に市区町村から直接郵送されます。 どちらも前年1月〜12月の所得に対する税額で、6月から翌年5月までの期間に納めます。

通知書の「所得割」と「均等割」は何が違いますか?

所得割は課税所得に比例する部分(標準税率10%)、均等割は所得の大小にかかわらず定額でかかる部分です。 均等割の標準額は市町村民税3,000円+道府県民税1,000円で、自治体独自の上乗せがある場合はここに加算されます。 所得割はゼロでも均等割だけ課される「均等割のみ課税」の世帯もあります。

森林環境税1,000円は住民税とは別の税金ですか?

別の税金です。森林環境税は国税で、市区町村が個人住民税の均等割とあわせて年額1,000円を徴収しています。 通知書では住民税の均等割とは行を分けて表示されるのが一般的です。徴収された税収は森林環境譲与税として都道府県・市町村へ配分されます。

所得税の基礎控除と住民税の基礎控除で金額が違うのはなぜですか?

両者は別の法律(所得税法と地方税法)で定められており、改正も別々に行われるためです。 令和8年分の所得税の基礎控除は合計所得489万円以下で104万円まで引き上げられましたが、個人住民税の基礎控除は43万円のまま据え置かれています。 この控除差で住民税だけが不利にならないよう、税額から差し引く「調整控除」が用意されています。

調整控除とは何ですか?

所得税と住民税で人的控除(基礎控除・配偶者控除・扶養控除など)の額が違うことによる負担増を調整するため、住民税の所得割額から差し引かれる税額控除です。 合計課税所得金額が200万円以下か200万円超かで計算式が変わり、人的控除額の差の合計などをもとに算出した金額の5%(市町村民税4%・道府県民税1%)が控除されます。

通知書の税額が思っていた金額と違うときは何を確認すればいいですか?

(1)給与収入額が源泉徴収票の支払金額と一致しているか、(2)社会保険料控除・生命保険料控除など所得控除がすべて反映されているか、 (3)扶養親族の人数が正しいか、(4)ふるさと納税の寄附金税額控除が載っているか、 (5)住宅ローン控除が所得税で引ききれず住民税に回った分が反映されているか、の順で確認します。 誤りがあれば市区町村の税務担当窓口へ申し出て課税内容の訂正を求めます。

参考にした一次ソース

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本ページの留意点
通知書の様式・欄の名称・均等割の額は市区町村によって異なります。 本ページは総務省・国税庁・横浜市の公表内容に基づく一般的な解説であり、個別の課税内容の判断ではありません。 記載内容と手元の通知書が食い違う場合は、お住まいの市区町村の税務担当窓口へお問い合わせください。
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