医療費控除 計算シミュレーション(家族分の含め方・セルフメディケーション比較)
年収と、その年に支払った医療費の一覧を入力すると、通常の医療費控除(家族分を含めない場合・含める場合)とセルフメディケーション税制を同じ支出から試算して、所得税・住民税の軽減見込みを並べます。
※ 源泉徴収票の「支払金額」(額面年収)を入力
※ 3つのパターンは、ここに入れた同じ支出から計算します。支払った本人が申告する前提です
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3つのシミュレーションパターンの違い
| パターン | 対象になる支出 | 足切り額・控除の下限 | 上限 | 見るポイント |
|---|---|---|---|---|
| パターン1(家族分を含めない・参考) | 本人が支払った本人分(補填後) | 10万円と総所得金額等の5%のうち小さい方 | 200万円 | 家族分を含めたときとの差を見る |
| パターン2(家族分を含む) | 本人が支払った本人分+生計を一にする家族分(補填後) | 同上 | 200万円 | 本人が家族の医療費も支払った年 |
| パターン3(セルフメディケーション) | 対象医薬品の購入費(補填後) | 12,000円を超える部分 | 88,000円 | 通常の控除より控除額が大きいか |
※ 申告できるのは、通常の医療費控除(パターン2)かセルフメディケーション税制(パターン3)のどちらか一方です(選択適用)。パターン1は、家族分を含めない場合の参考値です。
国税庁 No.1122「医療費控除の対象となる医療費」セルフメディケーション税制の計算式
控除額 = (対象医薬品の購入費 − 保険金等の補填額) − 12,000円
上限:88,000円(補填後の購入費が100,000円を超えても88,000円まで)
補填後の購入費がちょうど12,000円のときは0円です
所得税の軽減見込み = 所得税(控除前の課税所得)− 所得税(控除後の課税所得)
住民税の軽減見込み = 住民税所得割(控除前)− 住民税所得割(控除後)
令和8年度税制改正で適用期限が見直され、令和9年1月1日からは、スイッチOTC医薬品は期限なし(恒久化)、それ以外の医薬品は令和13年12月31日までの購入分が対象です(改正後の租税特別措置法第41条の17第1項)。令和8年(2026年)中の購入分は従来の対象のままです。また厚生労働省の検討会では、痩身・美容目的で使われる可能性がある医薬品(防風通聖散・大柴胡湯)を対象から外し、令和9年1月1日から令和12年12月31日までを経過措置期間とする方針がまとめられています。対象かどうかは、厚生労働省の対象品目一覧で販売名と品目を確認してください。対象の商品には、領収書やレシートに対象である旨が表示されています。
国税庁 No.1129「セルフメディケーション税制(特定一般用医薬品等購入費を支払ったとき)」家族分の医療費を合わせて申告するとき
本人が実際に支払った、本人または生計を一にする配偶者・親族の医療費は、合わせて医療費控除の対象にできます。次の点を確認してください。
- 支払った人が基準です。家族がそれぞれ自分で支払った費用を、所得の高い人に付け替えることはできません
- 別居でも、仕送りなどで生計を一にしている家族の分は対象になる場合があります
- 足切り額は申告する本人の総所得金額等で決まります
- 本人分だけでは足切り額を超えなくても、本人が支払った家族分を合わせれば超えることがあります
例:本人が支払った本人分7万円+本人が支払った家族分6万円 = 合わせて13万円 → 足切り額10万円を超えた3万円が控除対象になります(本人分だけでは0万円)。足切り額が10万円の場合(総所得金額等が200万円以上)の例です。
医療費控除の計算式(基本)
医療費控除額 =(実際に払った医療費 − 保険金等の補填額)− 足切り額
補填額は、補填の対象になった医療費を限度に差し引く
足切り額 = 10万円 と 総所得金額等×5% の低い方
上限:200万円
所得税の軽減見込み = 所得税(控除前の課税所得)− 所得税(控除後の課税所得)
住民税の軽減見込み = 住民税所得割(控除前)− 住民税所得割(控除後)
※ 「医療費控除額 × 所得税率(5〜45%)× 1.021」という簡易式は、控除の前後で税率区分が変わらない場合にしか成立しません。 たとえば年収539万円・医療費30万円(控除20万円)は課税所得が195万円の境界をまたぐため、 簡易式では¥10,210(=医療費20万円のときとほぼ同額)になりますが、控除前後の税額の差で計算した軽減見込みは¥15,500です。
国税庁 No.2260「所得税の税率」(累進税率5〜45%の根拠)年収別・税負担の軽減見込みの目安(医療費30万円・控除額20万円の場合)
| 年収 | 控除前→控除後の税率 | 所得税の軽減見込み | 住民税の軽減見込み | 合計 |
|---|---|---|---|---|
| 300万円 | 5% → 5% | 約10,200円 | 20,000円 | 約30,200円 |
| 500万円 | 5% → 5% | 約10,200円 | 20,000円 | 約30,200円 |
| 700万円 | 20% → 10% | 約39,800円 | 20,000円 | 約59,800円 |
| 1,000万円 | 20% → 20% | 約40,900円 | 20,000円 | 約60,900円 |
※ 医療費30万円・控除額20万円・補填なし・独身(社会保険料は協会けんぽ・東京都・令和8年度・40歳未満・賞与なしの等級表で計算)の概算値。復興特別所得税1.021を含む。
軽減見込みは「所得税(控除前)− 所得税(控除後)」で算出しています。実際の還付額は、源泉徴収税額との差を1円単位で計算するため、この表の金額とは数百円ずれることがあります。たとえば年収539万円・医療費30万円は、控除によって課税所得が195万円の境界をまたぐため、
控除の一部が10%区分、残りが5%区分で効きます。「控除額×控除後の税率5%」で計算すると¥10,210となり、控除前後の税額の差で求めた¥15,500より小さくなってしまいます。
年収1,000万円の課税所得は約616.4万円(695万円以下)なので税率は20%です(年収≠課税所得のため23%区分には届きません)。
よくある質問(FAQ)
医療費控除とセルフメディケーション税制はどちらが得ですか?
結論:同じ年の同じ支出について、両方の控除額と税負担の軽減見込みを並べて、大きい方を選びます。年間医療費が10万円を超えたかどうかだけでは決まりません。通常の医療費控除は、補填後の医療費が足切り額(10万円と総所得金額等の5%のうち小さい方)を超えた部分が控除額です。セルフメディケーション税制は、補填後の対象医薬品の購入費が12,000円を超えた部分(最高88,000円)が控除額で、ちょうど12,000円なら0円です。両制度は選択適用で、同じ年に併用できません。選んだあとに更正の請求や修正申告で変更することもできません。セルフメディケーション税制は、その年に健康診査・予防接種などの一定の取組を行った本人が対象です(国税庁 No.1120・No.1129)。
家族の医療費を合算して申告できますか?
結論:本人が実際に支払った、本人または生計を一にする配偶者・親族の医療費は、合わせて申告できます(国税庁 No.1120)。基準は「誰が支払ったか」です。家族がそれぞれ自分で支払った費用を、所得の高い人に付け替えて申告することはできません。別居でも、仕送りなどで生計を一にしていれば対象になる場合があります。足切り額は、申告する本人の総所得金額等で決まります。
セルフメディケーション税制の対象医薬品は何ですか?
結論:厚生労働省が公表している対象品目一覧にある医薬品です。ブランド名ではなく、販売名と品目が一覧に載っているかで確認してください。対象商品には、領収書やレシートにセルフメディケーション税制の対象である旨が表示されています。制度は、令和9年1月1日以降、スイッチOTC医薬品が期限なし(恒久化)、それ以外の対象医薬品は令和13年12月31日までの購入分が対象です(租税特別措置法第41条の17)。令和8年(2026年)中の購入分は従来の対象のままです。
医療費控除は過去の年分も申告できますか?
結論:申告義務のない人が還付を受けるための申告(還付申告)は、その年の翌年1月1日から5年間提出できます(国税庁 No.2030)。2021年(令和3年)分は、2026年12月31日まで申告できます。すでに申告した年分を直す更正の請求は、別の期限で扱います。過去の領収書や健康保険組合の「医療費のお知らせ」を確認してください。
医療費控除の還付金はいつ振り込まれますか?
結論:国税庁は、e-Taxで出した還付申告は3週間程度で処理しているとしています(訂正申告・書類不備・書面の別送があると対象外)。2月・3月の確定申告期間中は、還付金の支払手続におおむね1か月から1か月半程度かかります。実際の時期は税務署の処理状況によります。還付申告は1月1日から出せます。処理状況はe-Taxのマイページで確認できます。
本ツールは国税庁の計算式に基づく概算です。実際の還付金額は個別の控除状況・社会保険料・確定申告の内容により異なります。医療費控除の詳細は最寄りの税務署または税理士にご確認ください。
このツールで扱わないこと
- 給与所得だけの人の概算です。事業所得・不動産所得・年金などがある人の足切り額は計算できません。社会保険料は年収から推計した額で、実際の保険料とは差が出ます。
- 配偶者控除・扶養控除・生命保険料控除・住宅ローン控除などは入れていません。これらがあると税額が変わり、軽減額も変わります。
- 所得税の軽減見込みは控除前後の税額の差です。実際の還付額は源泉徴収税額との差で決まるため、数百円ずれることがあります。
- 補填額は、本人分・家族分・対象医薬品の3つに分けて入力します。ツールが医療費ごとの上限を当てはめるのはこの3区分の単位だけなので、同じ区分に医療費が複数あるときは、給付の対象になった医療費ごとにその額を上限にしてから合計して入力してください(そのまま合計すると、ある医療費で引ききれない給付金を同じ区分の別の医療費から引くことになり、控除額が小さく出ます)。
- 家族がそれぞれ自分で支払った医療費を、1人にまとめて申告する計算はできません。支払った人ごとに申告します。
- セルフメディケーション税制の対象かどうかは判定しません。厚生労働省の対象品目一覧で、販売名と品目を確認してください。
- ここに挙げていない個別の事情は計算に入れていません。正確な金額は、税務署や税理士にご確認ください。
参考公的ソース
- 国税庁「No.1120 医療費を支払ったとき(医療費控除)」
- 国税庁「No.1122 医療費控除の対象となる医療費」
- 国税庁「No.1129 セルフメディケーション税制(特定一般用医薬品等購入費を支払ったとき)」
- 国税庁「No.2030 還付申告」
- 国税庁「No.2260 所得税の税率」
- 国税庁「医療費控除を受ける方へ(令和7年分確定申告特集)」
- 厚生労働省「セルフメディケーション税制(特定一般用医薬品購入費を支払った場合の医療費控除の特例)について」